冷え込む消費とは裏腹に、活気づくソーシャルビジネス関連は少なくない。決してお金に余裕があるわけでもないが、それでも資金や時間を惜しげもなく提供する若者たちがいる。
冷え込む消費とは裏腹に、活気づくソーシャルビジネス関連は少なくない。依然として資金難で苦しむNPOやNGOが多数であることに変わりはないが、営利を目的にしていないのにも関わらず、大きな資金を生み出し、さらに大きな展開を目指しているNPOやNGOも現れている。
中でも、2001年イギリスで設立された「JustGiving」は、株式会社の形態をとりながらも、インターネットを中心にサービスを展開し、開始当初から世界でのべ約1200万人、金額にして約980億円(7億ポンド)の寄付を集めるという、非常に大きなマーケットを築いている。
この「JustGiving」は日本においても、2010年3月より展開をはじめ、古田敦也氏や丸山茂樹氏、有森裕子氏をはじめとしたスポーツ選手や著名人を巻き込み、11月13日現在、早くも17,250,040円の寄付金を集めている。
元マイクロソフトのジョン・ウッド氏が運営するNGO団体「ルーム・トゥ・リード」は、恵まれない国や民族へ書籍と教育の機会を与えるために運営され、大きな成果を収めている。日本でも人気を集め、世界でも有数の市場になっているという。先日は、傘下において「ビア・トゥ・リード」というお酒を飲んで寄付を行うインパクトのあるイベントも開催された。
日本においても、設立当時話題になった株式会社ディ・エフ・エフのクリック募金は、1クリック1円という超小額な基金にも関わらず、10年もの歳月経て、とうとう3億クリック、3億円に到達する見込みだという。
経営者でもあり、経営コンサルタントでもある池本克之氏は、自らNPO法人を立ち上げ、100キロマラソンに挑戦することで1キロ1万円という寄付を自ら行い、その行動に賛同する人たちから多数の寄付が寄せられている。
こうした状況の中見え隠れするのが、消費ではなく寄付やボランティアに走る若者たちの姿だ。
私の周囲でも、積極的にNPOやNGOに参加し、資金的な援助のみならず、実際のボランティア活動に精を出す人たちが増えている。特にその傾向は、20代30代の若者に顕著だ。
実際に一流企業に勤務しながら、ボランティアに応募してくる人も多く、もちろん自分自身でビジネスを立ち上げながら参画してくる人もいる。
10年前なら、ビジネスを楽しみながら生活を謳歌する立場だったと思える人たちが今はボランティアや寄付イベントに積極的に参加する。
一方消費は冷え込んでいる。所得もほとんど伸びていない。にもかかわらず寄付をするのだ。
決してお金が余っているから寄付しているのではない。
ただの寄付なら、何もこうしたNPOやNGOを利用しなくても昔からある。彼らが望むのは、寄付活動を通じたコミュニティの中でのつながり、参加意識、達成感を得ることだ。
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