三次元仮想空間「セカンドライフ」の登録数が急速に増加している。日本の大手企業が続々とセカンドライフに参入している。インターネット空間における「第2の人生」は本当に実現するのか?
アメリカのリンデン・ラボが運営している三次元仮想空間「セカンドライフ」の日本語サイトがオープンして、日本の大手企業が続々とセカンドライフ内に店舗を開いたり、イベントを開催したりしている。登録数は1000万件に迫り、約半年前の登録数の2、3倍になっている。セカンドライフ内では現金に換金できる通貨(リンデン・ドル)が取引されていて、1日で100万ドル強が消費されている。
Wii、DS、プレイステーションなどのゲームが人気を集めているが、私はゲームをしない。大学時代に、友人の家のファミコンでドラクエにはまったことがあるが、それ以来ゲームを卒業している。ゲームをしている時間がないことが主な理由である。セカンドライフに参加するためにお金はかからないが、ゲームと同じ感覚を持っている。
セカンドライフは普及するのか?
私はしないと考えている。将来、仮想空間が進化して、新たな可能性が生まれることはあるだろうが、名前が表す、人々が「第2の人生を送る空間」にはならないと思う。それは以下のような理由からである。
1. 仮想空間が実社会を完全に代替したら人類が滅びる
少子高齢化が問題になっている中で、誰もが仮想空間の中で生活するようになったら、子供が減るどころか、生まれなくなる。DNAがデジタル化され、人類がインターネットの中で生活するようになるとは考えたくない。人間が機械の体を手に入れるのはアニメの世界だけだろう。映画の世界ように、毎日会社に出社して、パソコンに向かって、あるいは、機械の中に横たわって、仮想現実の世界にある自分の分身を操作して仕事をするようなことはないだろう。
2. 現在のセカンドライフ利用者は、イノベーター(または、マニア)、あるいは、初期採用者である
インターネットの利用者が世界に約10億人いるとして、セカンドライフの利用登録数は、まだインターネット人口の1%に満たない。インターネットの利用者は今後さらに増えるだろうが、エベレット・ロジャースの普及理論に従えば、セカンドライフの利用者が今の10倍から20倍を超えなければ、実質的な普及は進まないはずである。次の段階(初期多数採用者への普及)においても上記(1)で指摘したような不安は避けられないし、技術的、社会的な問題も普及の妨げとなるだろう。リアルとバーチャルな世界における行動のギャップを埋める技術力、また、税金やモラルなどについても問われることだろう。仮想空間が現実の世界に近い秩序を持つようになるとすれば、それはセカンドライフ単独の発展によってではないだろう。グーグルやヤフーなど有力なインターネット企業がセカンドライフのような仮想空間を開設して、それぞれ数千万人、数億人のユーザーを抱え、個々の仮想空間が競争を繰り広げ、やがて統合されるようなことでもなければ、リアルの世界に近いルールがバーチャルの世界に生まれるとは思わない。インターネットの世界で、宗教革命、産業革命、独立戦争、世界大戦などが起るのは、まだまだ先のことだろう。そもそも、インターネットの世界がそんな方向に発展するだろうか?リアルの世界でも宇宙など、まだまだ、未知の領域がある。
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