寄付やボランティアなど東日本大震災の被災者支援の動きが続々と寄せられているが、いち早い被災者の方々の日常生活への復帰や被災地のを考えた時には、それだけでは足りない。一つの大きな壁が風評被害だ。この壁を崩すには、行政府や企業に期待するのではなく、消費者起点で、我々日本人が風評被害に晒されているものを買い支える"Buy East Japanese" Movementを展開する必要がある。
寄付やボランティアなど東日本大震災の被災者支援の動きが続々と寄せられている。そうした行為そのものを否定するつもりはないが、いち早い被災者の方々の日常生活への復帰や被災地の復興を考えた時には、一過性の支援だけでは足りず、被災者の方々、被災地が継続的に日常生活を送れるようにすることを考えていかなければならない。
その一つの大きな壁が風評被害だ。インド政府は日本からの食品輸入を今後3ヵ月間全面的に禁止することとした。ロイター通信によると、国による日本の食品輸入の全面禁止はインドが初めてだが、福島第一原子力発電所の周辺地域産の乳製品や果物、野菜、魚介類といった食品を対象とした自主的な輸入制限は、米国、中国、台湾、シンガポール、オーストラリア、フィリピン、ロシアなど多くの国に広がっている。企業や個人レベルでは、統計的なデータはまだないが、契約や注文のキャンセルが相次いでおり、日本産を忌避する動きはかなり大きく広がっていると見て間違いないだろう。
人体に直接影響する食品で安全を求める動きがあるのは理解できないでもないが、こうした過剰反応、風評被害はそれらだけに留まらず、工業製品、日本人の海外渡航にまで影響している。「福島県商工労働部によると、県には、食品だけでなく電子機器や医療機器などのハイテク製品などを取り扱う企業から、『注文をキャンセルされた』『取引を停止された』『残留放射線量の証明書を求められた』といった相談が多数寄せられ、このほかにも衣料や紙製品、部品にも同種の影響が出ているという。放射性物質の汚染に不安を抱いているのは台湾や韓国、米国などが多く、「製品の残留放射能が0.2マイクロシーベルトを超えない」ことを取引条件にされるケースが目立つという(参考:2011年4月2日 MSN産経ニュース)。」渡航制限については、友人から聞いた話だが、彼が最近シンガポールに行った所、空港で放射線測定を受けさせられたそうだ。また、韓国の仁川と金浦空港でも入国者の放射線量測定を実施している。
では風評被害は海外だけの話なのか。足許の日本の現状を見てみよう。
福島第1原発の事故で屋内退避圏となった地域は、放射能汚染よりも別の問題に苦しんでいる。物資が届かないのだ。運転手や物流会社が放射線の影響を恐れ、圏内への輸送を拒否しているのだ。本来は、こららの地域は避難指示ではなく、屋内退避措置の指示なので、必要最低限の外出をしても健康上の支障はないとされている地域である。とはいえ、企業は取引を選べる。圏内への輸送を拒むのは各企業の判断に任せざるを得ない。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます