私は、学校や学習塾で授業研修をしばしば行っているのですが、「生徒」にいつも新しい気づきを与えてもらっています。今日は、生徒から、「プロセス吟味」へ誘うヒントをもらったエピソードを書いてみます。
先日、ある学校の数学の補習に授業研修をするため補助として入りました。
研修を受ける先生が一通りの説明をし、数問の問題を生徒に課しました。
私は、演習中、机間巡視をしながら生徒に声をかけたり、褒めたりして、子どもたちのモチベーションの継続を心がけました
そして、声をかける中で、面白いパターンがあることに気づいたのです。
誤答の問題に対して、
「間違っているよ!」
と言うと、大抵の生徒は、反射的に消しゴムを手に取り、自分自身の努力の証を消しにかかるのです。
間違っているものを記録に残しておくことのが辛いのか? 間違いは、すべて最初からやり直すという習慣が身についているのか? あれこれと理由を考えてみました。
一方、同じように間違っている生徒に、
「その問題、おしいよ!」
と言うと、生徒は自分の作品をもう一度見直して、どこが「おしい」箇所なのか、一生懸命に探し始めるのです。
「間違いは些細なことなんだろう。どこか一箇所直せば済みそうだ」という心理が働いているように感じました。
間違いの修正は、今の課題を正解に導くために改善する場合と、将来の過ちを事前に防ぐという2つの意味があると思います。
ビジネスの現場では分かりませんが、私が携わっている教育の現場では、後者の方が大事です。後者のねらいを達成するためには、すべてを消去してやり直すことより、解答へ至ったプロセスを吟味し、どこに誤りのがあったのか、またその癖を理解することの方が有益です。
ビジネスでも人を育てようとするなら、そのプロセスの間違いを指摘するだけでは不十分かもしれません。上司なら当人である部下が自主的に「プロセス吟味」を行うように意識を向けられるような環境を作ることも大切でしょう。
今年の夏には無料のセミナーで講師を務めます。
よろしければご参加ください。
https://www.insightnow.jp/applications/id/201
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