いまわれわれは、近年で最も強い太陽放射線にさらされており、これによって、通信や電子機器の誤作動が生じる可能性がある。
関東地方でマグニチュード7クラスの地震が今後4年以内に70%の確率で発生する可能性があると東京大地震研究所教授らの研究チームが試算したとして話題になった。しかし地震国の日本、国内のあらゆる地域に活断層があり、安全といえる場所ははほとんどない。
それよりも地震だらけの狭い国土に世界の13%にあたる原子力発電所がひしめき合っていることのほうが大問題だと思うし、原発がなくなると電気が足りなくなるというプロパガンダをいまだに信じている人もいるようだが、2月初めの時点で稼働している原発はわずか3機。電力にすると数%にすぎずたとえ止まっても電力が不足しないことはあきらかだ。
地震と津波による被害を受けた福島原発2号機は政府が「冷温停止状態」を宣言したが、それも2月14日時点で温度が300度に上昇し、東電によれば計器の故障だという。測定もできていないのに冷温停止状態というのもおかしなことだが、もともとメルトダウンどころかメルトスルー(溶けた核燃料が圧力容器の底に落ちて突き抜けた)しているのだから、炉心を冷やすほうが難しいとも思う。
前置きが長くなってしまったが、ここで取り上げたいのは原発ではなく太陽嵐のことだ。太陽嵐は、太陽で大規模な太陽フレアが発生した際に放出され、それに含まれる電磁波や粒子が地球や人工衛星に影響を及ぼすというものである。人間は太陽がなければ生きていられないが、太陽はまたその動きによって生物だけでなく、精密電子機器や無線設備を狂わせるほどの力を持っている。
過去にも太陽嵐によってGPSが誤作動を起こしたり、送電設備が故障して大規模な停電が起きているが、今、太陽活動が活発化していて、強力な太陽嵐によって社会インフラが危うくなる可能性があるという。
昨年8月、アメリカの宇宙天気予報センターは、大規模な太陽嵐が発生したため通信機器、電子機器の利用者に混乱が生じるおそれがあると警告した(ロイター)が、幸いにも大きな被害は起きなかった。過去に発生した大きな太陽嵐は1859年だが、当時の社会は現代のような通信インフラや電子機器は普及していなかった。2008年、全米研究評議会は1859年レベルの太陽嵐が発生した場合、世界で最大2兆ドルの損害が生じる可能性があるとしている。
このような状況を受けて、デルタ航空はフライトによって太陽嵐による影響を避けるため、予防的措置として迂回ルートを採用しているという報道もあった。北極・南極付近は磁場の影響で他地域よりナビゲーションや通信システムの障害が起こりやすいからだという。
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2008.09.26
2010.04.20
トッテン ビル
株式会社アシスト 代表取締役会長
1969年、米国の大手ソフトウェア会社の一社員として市場調査のために初来日し、1972年、パッケージ・ソフトウェア販売会社アシストを設立、代表取締役に就任。2006年、日本に帰化し日本国籍取得。2012年、代表取締役会長に就任。