アメリカでは社会人向けの人材育成の一環としてオンライン教育が定着して いますが、人気講座になるととてつもない数の受講者がいます。 その数、なんと、10万人以上。 この、大量の人が同時に受講できるという側面を指して、教育の「マッシブ化」 と言われていますが、さらに詳しく見るとビジネス教育を大きく変える インパクトがありそうです。
本稿では、人材育成の「マッシブ化」を「コンテンツ」、「ビジネスモデル」、「ソーシャル化」という
観点から読み解きます。
●グーグルフェローが教える「グーグルの作り方」
まずは素朴な疑問から始めましょう。なぜ1講座に10万人を超える人が集まるのでしょうか?
答は、「人気講師」、「最先端のコンテンツ」、「無料」の3点です。
たとえば、「検索エンジンをつくろう (Building a Search Engine)」という講座を教えるのは
グーグル・フェローとスタンフォード大学の教授。
こちらの講座紹介動画を見ただけで、エンジニアを志す人ならば心引かれるのは間違いありません。
(ちなみに、この動画にはグーグル創業者のセルゲイ・ブリン氏も推薦者として登場します)
そして、受講料は、無料。
サイト右上の「サインアップ(Signup)」という場所から名前とメールアドレスを登録するだけで、
ビッグネーム二人が教える動画と膨大なボリュームのテキストにアクセスできるのです。
これならば、世界中から数万人単位の受講者が集まるのもうなづけます。
●進化を続ける「教育というビジネスモデル」
と言って、提供者側もけっして社会貢献のためボランティアで行っているわけではありません。
ここに、教育のマッシブ化の第二のポイントがあり、従来の受講者に課金するという教育の
ビジネスモデルを変革しようという試みです。
たとえば、10万人を超えるユーザーがいるということは、同じような興味を持つ人が
集積していることであり、それをターゲットにした広告モデルが成り立つのは想像に
難くないでしょう。
そしてもう一つ、教育というサービスの特性として、登録者一人ひとりのスキルレベルが
詳細に把握できている点も見逃せません。
最終試験のスコアでスキルの修得度合が分かりますから、優秀な人材に
「スカウトメール」を出して採用をしている企業に紹介するという、極めて効率的な
「人材紹介モデル」が成り立つ可能性があるのです。
ただし、この講座の提供者はベンチャー企業で、上記のモデルはまだ試行段階。
とはいえ、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資も受けているようですので、
「このモデルはいける」という一定のコンセンサスは得ているのでしょう。
●オトナの学びを変える「ソーシャル化」
もっとも、VCから出資を受けたのは、たんにオンライン教育で人がたくさんいる、からでは
ないでしょう。
それが、マッシブ化のもう一つの側面、「教育のソーシャル化」です。
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人材育成とビジネス教育
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