幼児期の習い事が当たり前になった現代。 お子さんの将来を見据えた教育系の早期教育が大切なことは言うまでもありませんが、幼児期のお子さんを伸ばす手軽なものに「外遊び」があります。
「三つ子の魂百まで」や井上大氏の『幼稚園では遅すぎる―人生は三歳までにつくられる』や脳科学などから、3歳神話は一人歩きを始め、何でも早い時期に詰め込んでしまおうという風潮が目立ちます。
石川遼選手(ゴルフ)や福原愛選手(卓球)や、牛田智大君(ピアニスト)などのように幼児期から始めたことで才能を開花させた事例はスポーツ・芸術分野では多く見られます。
その一方で、幼児期から英会話スクールに通っていたのに英語が苦手、幼児教室に通わせたのに小学校の成績は月並みなど、学習面においては早期教育が奏功しないことが多々あります。
早期教育には、数値化できる学力や能力を目標とするものと、子どもの(知的)好奇心を育むことを目標とするものに大別できます。前者の典型的なものがIQ教育です。
IQとは、intelligence quotientの略であり、日本では「知能指数」といわれています。
名称の認知度が高いIQですが、算出式や値がもつ意味をご理解されていない方も多くいます。「小学校〇年生のIQの平均値はいくつですか?」と質問を受けたことがありますが、どの学年であってもIQの理論的な平均値は100です。
IQは「精神年齢÷生活年齢×100」という計算式で算出されます。精神年齢とはIQ診断テストで導き出される値、生活年齢とは肉体年齢とも言える実際の年齢です。例えば、テストを受けた10歳の子が、15歳の子に相当する成績を出すと、15÷10×100=150でIQ150となります。
生活年齢の異なっているものの知能を、相互に比較するための尺度で、被検者の知能水準を年齢で表現した知能年齢(mental age)を生活年齢(calendar age)で除し、100 を乗してもとめる(三浦、1991)。早期教育産業では、この数値を、早期教育の結果を計る単位として用い、実際は普通児で、100から120のものが、その早期教育の教材や教育法により140以上 にも上昇するという。一般的に、「IQが高い=頭が良い」、と思われがちですが、そうとも言い切れないのです。
IQ診断テストの問題には傾向があり、前もって類似の問題で訓練を積めば好成績に繋がります。こういった幼児教室では、何回もIQ診断テストや対策のテストを行います。実際のIQの値が上がったのではなくて、IQテストの対策としての技術が身に付いたに過ぎない可能性があります。
独立行政法人「国立青少年教育振興機構」は、『子どもの体験活動の実態に関する調査研究報告書』で、子どもの頃の「自然体験」や「友だちとの遊び」等の体験が豊富な人ほど学歴が高い・収入が多いと発表しました。この要因は「知的好奇心が刺激され、学習意欲が向上する可能性がある」と考えることができます。
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2015.07.17
2009.10.31
籔 孝昭
AllAbout ガイド
金融機関で新規事業の立案や子会社の設立など企業経営全般に携わるとともに、大学や企業で「論理思考」や「マーケティング」に関する講義を行う。そこで、企業が求める人材と学生のギャップを目の当りにして、教育業界に転進。