あなたは、「雨女」「雨男」という自覚がありますか? (晴れ女、晴れ男を自認されている方もいらっしゃるでしょう!)
もちろん、本気でそう信じている人はいないと思いますが、
「自分が参加するイベント等の日はいつも雨が降っちゃう!」
などと感じる場合の‘いつも’という言葉には、
風評被害やデマが生まれる状況と同様、
「因果関係の錯覚」
が含まれています。
すなわち、
「自分は雨女・雨男だ」
という思い込みが一度生まれてしまうと、
雨が降った日のことだけが強く印象付けられ
記憶されるのです。
そして、実は晴れた日もあったにも関わらず、
雨女・雨男という認識に反する事実は都合よく無視し、
忘却の彼方に追いやってしまうわけ。
同様の例が他にもあります。
慢性の病気や古傷などが、
雨の日や寒い日になると痛くなる、
という話はよく聴きますよね。
いかにもありそうです。
真実の因果関係に感じられます。
しかし、15ヶ月にわたり、
18人の関節リウマチ患者を対象に、
毎月2回、痛みぐあいを報告してもらった調査では、
「天候」と「痛み」の間に相関は見られませんした。
それでも、患者のうち一人を除いて全員が、
天候変化が自分の痛みに関係していると感じて
いたのです。
そして、たとえ「天候と痛みには関係がない」と
説明されたとしても、患者さんとしては、
「やっぱり自分は、雨の日に痛くなるんだ」
という思い込みを変えることはなかなか難しいようです。
このように、自分の信じたいことや、
思い込みに合致した事実やデータだけを取り込み、
そうでないものを無視してしまうことを
「選択的マッチング」
と呼びます。
プライベートだけでなく仕事や調査研究などでも、
しばしば、私たちは選択的マッチングによる
「因果関係の錯覚」
を起こし、誤まった判断・結論を導いている
可能性があります。
因果関係の錯覚を起こさないためには、
・先入観を捨てて事実やデータを見ること
・科学的なアプローチで検証すること
2点が必要ですが、少なくとも
「自分の思い込みは、100%正しいとは限らない」
という気持ちを常に持っておくべきでしょう。
*関節リウマチ患者の調査は『錯覚の科学』から
引用しました。
『錯覚の科学』
(クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ著、
木村博江訳、文芸春秋)
関連記事
2015.07.17
2009.10.31
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。