オフィスにお菓子の入ったボックスを置き、「富山の薬売り」方式で販売する 「オフィスグリコ」 の成功の最大の要因は、 「オフィスでも、堂々とお菓子が食べたい」 という潜在ニーズに応えたことにあります。
基本的に日本企業では、お客さんや出張帰りの同僚が買ってくる時折のお土産を除き、仕事中にお菓子を食べるのは「タブー」というか、あまり好ましくないという空気があります。(ベンチャー企業とかではその限りではないですが)
なので、私なども、会社勤めのころは、机の引き出しなどに隠して、こっそりと口に入れていたものです。
そこで、オフィスグリコでは、
「お菓子はリフレッシュに役立つ」
というメリットを強調し、お茶を飲んで一休みできるオフィス内のリフレッシュスペースに置いてもらうことを狙ったのだそうです。
オフィスグリコのボックスは、会社が承認して設置してあるもの。すなわち、ある意味「会社公認」ですから、女性も男性も、遠慮なくオフィスで毎日お菓子を口にすることができるようになったわけです。
さて、もうひとつ、成功要因として面白いのが、ホームセンターでみかけるような小型の透明の箱、
「リフレッシュボックス」
にお菓子を入れた点です。このボックスには3つの棚があり、それぞれ8個づつ計24個のお菓子が入っています。そして、売れ残りがあっても、中身を3週間かけて総入れ替えすることになっています。
素人考えでは、「自動販売機」にしてしまえば、代金の回収の問題もなくなるし、それほど頻繁に商品を入れ替えなくて済み、コストが下がるのでは?と考えてしまいます。
しかし、実際には、
「頻繁に商品を入れ替えること」
が成功の鍵なのです。
というのも、低価格の食品の購入においてしばしば観察されるのですが、いつも同じものではなく、気分に応じていろんなブランドや、異なるフレーバーを楽しみたいという、
「バラエティ・シーキング」
を消費者が行なうからです。
「バラエティ・シーキング」は、例えば、カップヌードルを食べるとき、
いつも定番の「しょうゆ味」だけを選ぶのではなく、たまには気分を変えて「カレー」や「しお」を選ぶようなこと。
オフィスグリコの担当者によれば、お菓子の自動販売機は、多くの人が行き交う、ボーリング場や高速道路のサービスエリアなどでは成立するそうです。(鉄道の駅構内にもよく見かけますね)
しかし、いつも決まった人が利用するオフィスではすぐに売れなくなる。商品の種類(バラエティ)が固定的なためです。
そこで、オフィスグリコでは、代金の回収も兼ね、毎週お菓子を入れ替ていく
仕組みとした。しかも、グリコの商品だけでなく、他社商品も積極的に取り揃えて多様性を確保している。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2012.08.17
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。