知らないうちに、ありとあらゆるところに設置されている「防犯カメラ」。 防犯カメラの設置には賛否両論ありますね。 ただ、先日の「ガイアの夜明け」(2012/8/7放送)で 紹介された消費者調査の結果によれば、「防犯カメラで自分が写されていても気にならない」という回答が約8割となっており、意外と気にしない人が多いようです。
プライバシー侵害等の不安も確かにあります。
しかし、むしろ、一般市民にとっては、防犯カメラが設置されていることの
「安心感」
のほうが大きいのではないでしょうか。
防犯カメラには大きくは2つの効用があります。
ひとつは、先日のオウム真理教元信者の高橋克己容疑者の逮捕で活用されたように、犯罪者を特定したり、逃亡ルートを追うことで、検挙率を高めることができること。
また、近年進歩が著しい「顔認識技術」を使って、街頭などの防犯カメラに映った人々の中から、逃亡中の指名手配犯を探し出すことも可能となっています。
これは、従来の、
「見当たり捜査官」
と呼ばれる刑事が指名手配犯の顔写真を数百人覚え、雑踏を歩き回り犯人と思われる人物を探し続ける地道な方法の代替技術となりそう。
昨今の顔認識技術では、カツラやサングラスなどでかなり変装していても、同一人物かどうかを判定できるようですので、逃亡犯の検挙率も高まることになるでしょう。
防犯カメラのもうひとつの効用は、防犯カメラの存在自体が犯罪の発生を抑制できること。
文字通り「防犯」効果があることです。
実際、防犯カメラを設置した商店街では、「落書き」などのいたずらが大幅に減少しています。犯罪の温床になりがちな公園でも、防犯カメラを設置することで犯罪の発生が減るなど、目に見える効果につながっているようです。
すなわち、「人の目がある」「誰かに見られている」といった意識が犯罪行為に至ることを踏みとどませるわけです。
さて、
「人の目」が私たちの行動に大きな影響を与える
ということは、ビジネスやマーケティングの視点からも覚えておきたいことです。
例えばこんな実験があります。
ある会社のドリンクコーナーにおいてある紅茶、コーヒー、ミルクは有料制です。社員が飲むたび、自分でお金を箱の中に入れる仕組み。
オフィス・グリコのようなものですね。
研究者のメリッサ・ベイトソンは、10週間にわたって、この会社で飲まれたミルクの量と箱の中に入っていた金額を調べました。
なお、その際、1週間ごとにドリンクコーナーの目の高さに貼ってある写真を入れ替えていました。
ある週は「花」の写真。
別の週は、自分を見つめているように感じられる「人の顔」の写真です。
その結果、花の写真の週は、飲まれたミルクの量に対して支払われた金額が少なめ。つまり、ちゃんと払っている人が少なかったわけです。
ところが、「人の顔」の写真の週は、花の写真の週の2倍から3倍のお金が箱に入っていた。すなわち、ちゃんとお金を払った人が大幅に増えたということです。
次のページあなたなら、ビジネス・マーケティングにおいて、この知見...
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2015.07.10
2015.07.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。