前半はBCPの在り方について、後半は企業の「安全配慮義務」と法令遵守について、現在支援している各社とのやりとりを踏まえてまとめてみます。
「BCP(事業継続計画/business continuity plan)」は、事業継続性を維持し経済活動を行なう上で必要となる基本的な計画を指します。
これは、災害や事故等の発生により限定された経営資源に基づき事業活動を継続、または目標として定めた復旧時間内に事業再開できることを目的として事前に策定される行動計画と言い変えることができます。
また「BCM(事業継続管理/business continuity management)」という言葉も新聞や雑誌、WEBメディア等で取り上げられるようになってきましたが、これは事業継続(BC)に取り組む際のBCP策定から、導入・運用および見直しなどの継続的改善を含む、包括的・統合的なマネジメント(体制)を指しています。
◆ 本当にBCP策定を急がなければならないのか?
前提として首都直下型地震や南海トラフ巨大地震等のリスクが想定されていますので、BCP策定は推奨されるものだと考えています。
しかし、BCPを導入・運用する段階を考えた場合、リスクアセスメントをどのように行なうかによって計画は大きく変更を求められることになりますし、南海トラフ巨大地震のように最大32万人の死者が想定されている災害に対して、自社単独のBCPを策定したところでインフラの健全性にどこまで依存しているのかについては十分検討をしておかなければなりません。
BCPや災害対策を構築する際にお伝えしているのは、BCPを策定するのであれば必ずサプライチェーンを洗い出して、取引先と同じフォーマット(帳票類や行動計画)で計画を策定するか、またはBCPそのものは簡単に書籍などで間に合わせて、まずは災害発生から3日間に集中して、社員とその家族の生命を守ることだけに集中するようにして頂いています。
◆ 2009年のパンデミックBCPの教訓
2009年に新型インフルエンザ対策として感染症BCPを提供していましたが、その際に問題となったのは、災害復旧よりも「契約書で定められた納期の遵守と賠償責任」および「会社都合と自己都合による休業とその保障」でした。
当時内閣府のBCPガイドラインが発行されていましたが、感染症対策には十分な内容ではなく、また書籍や各コンサル会社がバラバラな様式のBCPプログラムを提供していましたので、実際にBCMに切り替えた時にはどの会社の計画に沿って運用するのかが問題となりました。
更に、BCPを法的な観点でチェックする方々も少なく、新型インフルエンザによる休業規程も、O-157の厚生労働省通達等を参考に社会保険労務士の方々に配布するような状況となっており、BCP運用の難しさを露呈した形となっています。
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BCP/BCM
2012.10.18
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