少しずつ進んできた教育のデジタル化。今回は電子ペーパーの使い勝手やその可能性を考えてみた。
5月15日から17日まで東京ビッグサイトで開催された第4回 教育ITソリューションEXPO。600社以上の企業が集まる日本最大の教育IT展示会だ。今回のショーで是非見たかったのがソニーブースで展示される電子ペーパー。実際に触れて試すことができた。
プレスリリースによると、今回開発した「デジタルペーパー」端末のディスプレイには、ソニー独自のプラスチック基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を高精度に形成する技術を用いた、最新の13.3型(1,200×1,600ドット)フレキシブル電子ペーパーを採用しており、厚さはわずか6.8mm。重さは358gで、いつもiPadを持ち歩いている筆者にとって、数字以上に軽く感じられた。
フレキシブル電子ペーパーは、台湾E Ink®社の「E Ink Mobius」を採用している。電子ペーパーは普通の紙のように折り曲げることもでき、バッテリーの問題さえ解決できれば、更に薄くすることができる。展示されていた電子ペーパーは、紙そのものの薄さであった。
E-Ink Holdingsは教育市場の展開に熱心で、電子ペーパーを組み込んだ机や黒板をリリースしている。
実際に試し書きをさせてもらったところ、予想以上に書き味はよく、応答速度もまずまず。ひと昔のスマホに書いている感じと言えばよいだろうか。プレスどおり、画面に触れてメニューやページ送りの操作ができることに加え、付属のペンで紙のように滑らかに書くこともでき、手書きやハイライト、付箋メモを文書とともに保存することができる。
その他Wi-Fi機能、microSDメモリーカードスロットも搭載しているので、大量の書類を扱える。またフレキシブル電子ペーパーは低消費電力のため、大画面でも1回の充電で最長約3週間の使用が可能だ。電子ペーパーはデジタル製品だが、限りなくアナログに近い製品に仕上がっている。
電子ペーパーを教育の場で活用するならば、ずばりノートやプリントの変わりになる。電子ペーパーは基本紙なのだから、当たり前かもしれないが。しかし電子ペーパーには通常の紙の手軽さに加えて、デジタル機能も追加されていて、単なる紙の置き換えにはならない。
今後、電子ペーパーの活用が進めば、板書からノートの転送またはその逆、生徒間同士のノートの共有などができるようになる。試験前に友人のノートを借りて、コピー機に並ぶこともなくなるのだ。ノートやプリントは電子ペーパーに、教科書や資料集など厚い本はタブレット型端末に搭載されていくだろう。
次のページ今後伸びる電子ペーパー市場
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。