タクシー激戦区京都で業績好調のMKタクシーはアドボカシーマーケティングのベストプラクティス企業である。
京都に単身赴任していた頃、仕事の疲れを癒しに近所の銭湯に行くことが楽しみだった。しかしある日、よく通っていた近所の銭湯が閉鎖となり別のお目当ての銭湯は見つけたものの、頑張れば歩けるが少し遠いので楽しみのひとつが無くなりそうになっていた。
そんな時に助けてくれたのがMKタクシーだ。タクシー激戦地区の京都でかつ差別化が困難な市場で後発ながら業績好調なタクシー会社だ。アドボカシーマーケティングを実践して他社との差別化をしている企業と言えばMKタクシーがあてはまるであろう。
アドボカシーマーケティングとは、目先の利益にとらわれることなく、徹底的に消費者側に立ち、顧客との信頼関係を中心にしたマーケティング手法だ。長期的視野にたった考えで、いわゆる「損して得とれ」「先義後利」の考えを実践することである。
どんな近場でも嫌な顔することなく丁寧に対応する応対品質、一度電話登録すると2回目からはコールセンターに電話して「自宅前に着て頂戴」で通じる、いわば顧客のおかかえ運転手のような数々の対応を、会社全体の仕組みと運転手の応対品質で実現しているのだ。
話を銭湯に戻そう。マンションに帰宅してMKのコールセンターに電話をする。僕のナンバーは登録されているので、「マンションまで1台お願いします。」と言うだけだ。しばらくするとセンターから電話がかかってくる。「タクシーが到着しました。」ほとんどパジャマ同然の姿でマンションの前に出る。そこには正装した運転手がタクシーのドアの前でお迎えしてくれている。「お待ちしておりました。頭にご注意ください。」と言われながら少しVIP気分で、タクシーに乗り込む。
「車内の温度はいかがでしょうか?」「大丈夫ですよ。」というような会話をしながら、10分もかからない近距離を走り、外からドアを開けてもらい「行ってらっしゃいませ。」と送り出してもらう。初乗り運賃でも嫌な顔ひとつもしないのだ。
帰りも電話して、「今銭湯にいるので自宅まで帰ります」と言うだけだ。平日の銭湯がプチ贅沢な気分で楽しめるのもMKタクシーのおかげである。
こうした体験を重ねると、街で流しのタクシーを拾うときも、MKタクシーを選別して拾うことになる。JRを降りてもわざわざMKタクシー乗り場まで行くのだ。(MKはJRのタクシー乗り場には入れできない)まさしく、アドボカシーマーケティングで僕を虜にしてしまったのだ。
企業におけるお客様センターは利益に即時に直結はしないコスト部門的位置づけだが、アドボカシーマーケティングの考え方にのっとると、将来の収益の大きな源泉と位置づけられるはずであり、是非とも取り入れたい考え方である。
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