前回に引き続き、シナリオ型営業のパターンと重要性に関して解説します。
シナリオパターン3 顧客主導、既存大手顧客フォロー型
比較的大手企業を効率よくフォローするために対面営業とセンター営業がハイブリッドで営業体制を整備するタイプです。顧客の中での権限委譲や購入決定者が多くいる場合には有効となります。
たとえば、コンピュータ市場では、一昔前まではコンピュータの需要が生まれ、機器を選定して発注の権限をもっていたのは情報システム部門でした。これがパソコンやサーバ機器の技術進歩やニーズの変化にともない、エンドユーザ部門からの需要がうまれ機器購入という状況になってきました。特に大手企業はその傾向が強くなっています。これに対して今まで情報システム部門しかフォローしていなかったコンピュータメーカーはエンドユーザでの商談機会を逃すようなケースも見られます。
新しいモデルでは対面型営業とセンター型営業がハイブリッドで顧客をフォローします。どうしても手薄になりがちなエンドユーザや地方事業所・工場といった拠点にはセンター型営業を担当としてアサインします。そして定期的にコミュニケーションをとります。コミュニケーション内容も単純な御用聞きではなく、パターン2と同様に業種や顧客のニーズに対して仮説を立案した会話ネタを用意します。年間のコミュニケーションプランを立案して、顧客の重要度合いに合わせたコミュニケーションの頻度を守ります。そのコミュニケーションの中から具体的商談が生まれた場合には対面営業に引継ぎ、その後は対面営業が提案活動を実施します。
当然、センター型営業はこうした顧客とのフォローコミュニケーションをメイン業務にした要員をアサインしています。パターン2と同じく、シナリオに基づいたしかも組織の知恵を使いながらユーザフォローを通じての案件醸成活動だけに専念したセンター型の活動は、非対面であるというハンディを乗り越えた成果を達成することが可能となります。
シナリオパターン4 顧客主導、既存中小顧客フォロー型
ユーザでも比較的規模が小さく、取引額も小さく、コミュニケーション相手が数少ない場合は、思い切ってセンター型営業をメインの営業とし、対面営業はサブの位置づけにします。
ここで注意しなければいけないのは、顧客に対してのサービスの品質が落ちてクレームが出ないようにしなければいけません。
机上でこういう議論をすると、「今まで対面営業がコンタクトにしていたお客さまに対して、電話やメールが中心になるなんて失礼だ。顧客満足度が落ちるに違いない。」と考えがちになります。しかし、よく実態を見てください。実は、こういう小規模顧客は営業マンにとっては後回しになっているケースが多く、実際にはお客さまからの要請があって初めてコンタクトを取るようなケースも少なくないはずです。また、お客さまから電話をいただいても担当営業は常に外出中で「のちほど担当からご連絡を差し上げます。」と言って電話を切ったものの、営業マンはつかまらず、いつまでたってもお客さまへの連絡ができないまま、そのままになってお客さまの怒りを買ったというケースもあるのではないでしょうか。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2014.06.01
2014.06.09