ユーザー数250万人、導入企業数2万6000社。2007年9月遂にIBM「Lotus Notes」を抜いて国内グループウェアのシェアナンバーワンの座を勝ち取ったサイボウズ。創業時にはベンチャーキャピタルから「勝負にすらならない」とまともに相手をしてもらうことさえできなかったベンチャーは、わずか10年でIBM、マイクロソフトなどのビッグネームを打ち負かすまでに成長した。同社の奇跡的ともいえるサクセスストーリーの真相を青野社長に伺った。
第一回
「勝算は最初からありました」
■F1より軽トラ
「松下電工にいたとき、僕が担当者としてLotus Notesを導入しました。そのときに、えらい苦労した経験がサイボウズの素になっているんじゃないでしょうか」
松下電工に94年入社した青野氏は大学で情報システムを専攻した能力を見込まれ、まず管理職以上を対象としたパソコン導入を任される。その成功を受けて次はグループウェアへと話が進み、最終的に選ばれたのが当時の定番Lotus Notesだった。
「これが確かに素晴らしいソフトであることは間違いないけれど、使い手にもものすごい能力が求められる。クルマに例えるならフォーミュラーマシンみたいなもんです。乗りこなせればメチャクチャ速いんだろうけれど、素人にはそもそも運転できねえよみたいな」
この時点ですでにサイボウズの原型となるアイデアが青野氏の頭に芽生えていた。そのアイデアを刺激し活性化したのがブラウザーとの出会いである。
「当時はまだネットスケープのバージョン0.9、それもベータ版ぐらいだったでしょうか。それでも初めて触れた時の衝撃は今でも覚えていますね。アドレスにwhitehouseと打ち込んだらサクッとアメリカ政府のホームページを見ることができるんですから。何じゃこれはって。そのうち知人がネット上に簡単なホワイトボードを作ったんです。これを見たときに閃きました」
ネット上にとりあえず誰もが使えるホワイトボードを作ったらどうなるのか。チームみんなのスケジュールを確認できて、みんなが自由に書き込める掲示板があればどれだけ便利だろう。
「Lotus Notesが超ハイスペックなF1マシンだとすれば、僕が思い描いたのはせいぜい軽トラックみたいなソフトですよ。ただ大したことはできないけれども、これだったらとにかく誰でも使えるはず。それならみんなに使ってもらえるんじゃないか」
この誰でも使える操作性こそが、実はグループウェアのKSF(Key Success Factor)だったのだ。なぜならその名がまさに示すようにグループ全員が使えて初めてグループウェアは機能する。逆にいえばコンピューターの苦手な部長が使えなければどうなるか。チーム内に一人でも使えない人間がいれば、いくら高性能なグループウェアであったとしてもその機能はゼロレベルに低下する。
「グループウェアといえばIBMのLotus NotesとかマイクロソフトのExchangeと言ってるけれど、結局は誰も使いこなせていない。それは松下で失敗した自分が何より知ってる。それなら誰もが使えるグループウェアを出せば絶対勝てるはずだって信じてました」
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