35歳以上の「中年フリーター」の増加に歯止めがかからず、現在では270万人以上に上っているとのことです。 この「中年フリーター」を正社員化するために様々な施策が実施されていますが、果たして実効性はあるのでしょうか?
報道によると、35歳以上の「中年フリーター」が増加しているそうです。最近は、サービス業や建設業などで人手不足が顕著となり、雇用環境も改善していることなどから、34歳までのいわゆる「若年フリーター」は減少傾向にありますが、35歳以上の「中年フリーター」については増加に歯止めがかからず、現在では270万人以上に上っているとのことです。
■歯止めがかからない「中年フリーター」の増加
政府も、「中年フリーター」の増加に手をこまねいているわけではありません。政府は、有期労働から無期雇用への転換に助成金を支給する「キャリアアップ助成金」を拡充するなどの施策を実施して、非正規雇用労働者の正規雇用への転換を推進しています。
また各都道府県でも、様々な対策を行っています。例えば東京都では、本年4月より「キャリアアップ助成金」に上乗せして最大50万円を助成する「東京都正規雇用転換促進助成金」を設けたり、大学等を卒業後7年以上の44歳以下の人を対象として、紹介予定派遣制度を活用し研修と派遣就労により正社員就職を支援する「正社員就職サポート事業」などをスタートさせています。
このように、政府や各都道府県では、非正規雇用対策として様々な施策を用意しているのですが、果たしてこれらの施策でだけで、中年フリーターの増加を抑制できるのでしょうか?
■「コア業務」と「ノンコア業務」の違いがもたらす格差
昨今、正社員と非正規社員の格差が問題視されていますが、なぜそのような格差が生じるのでしょうか? 正社員と非正規社員の間に生じる給与や待遇面での格差は、原則として携わる業務内容や役割がもたらす「企業収益へのインパクト」により生じるものだと理解しておけば、まず間違いないだろうと思います。
一般的な企業は、それぞれの業務をその企業が収益を上げるために必要な「コア業務」と、アウトソースが可能で付随業務に属する「ノンコア業務」に分けて組織を構成し、その組織能力を最大化するためのマネジメントを行っています。
例えば飲食店を運営する企業では、正社員の店長などが担当するマネジメント業務は、業績に直結する業務のため「コア業務」と位置づける一方で、現場のホールやキッチンなどの業務については高度なスキルを必要としないため、「ノンコア業務」に位置付けて主に非正規社員が担当するなど、それぞれの業務内容や役割にマッチした人材管理を行うことで、組織全体のパフォーマンスの最大化を図っています。
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2015.07.17
2009.10.31
川崎 隆夫
株式会社デュアルイノベーション 代表取締役
経営コンサルタントの川崎隆夫です。私は約30年にわたり、上場企業から中小・ベンチャー企業まで、100社を超える企業の広告・マーケティング関連の企画立案、実行支援や、新規事業、経営革新等に関する戦略計画の立案、企業研修プログラムの策定や指導などに携わってきました。その経験を活かし、表面的な説明に留まらず、物事の背景にある真実が浮かび上がってくるような、実のある記事を執筆していきたいと思います。