タスクをやり遂げているのに、疲労感ばかりが蓄積されてしまうと感じるビジネスパーソンは少なくありません。こうした問題を解決するためには、自分自身の持つ判断基準、価値観をきっちり持つ必要があります。
通常、タイム・マネジメントというと、タスクの書き出し、タスクの優先順位の設定、スケジューリング、会議やアポイントの調整などを思い浮かべるでしょう。
しかし、どれだけうまく時間を調整し、毎日の業務(タスク)をこなしたとしても、次から次へとタスクは押し寄せてきます。仕事は待ってくれません。
また、上記の調整を繰り返すことになります。
そして、タスクをやり遂げているのに、残るのは充実感ではなく、疲労感ばかりが蓄積されてしまいます。こうした疲弊感や走り回ることの繰り返し感は、忙しいビジネス・パーソンほど感じていることでしょう。
実は、この疲労感は、タスク・マネジメントや調整作業をうまくやればやるほど、深まってしまうという矛盾をはらんでいます。
要は、本当に必要か、必要でないか拘わらず、タスクをこなしすぎてしまうからです。
こうした問題を解決するためには、自分自身の持つ判断基準、価値観をきっちり持つ必要があります。フランクリン・プランナーのタイム・マネジメントは、この価値観を明確にすることから始めます。
「価値観」とは、自分自身にとって「もっとも大切なこと」=人生やビジネスにおいて重要、優先的であると信じているものと言ってもいいでしょう。
この「価値観」を満足させるものでなければ、いくらてきぱきと行動し、結果を出したとしても、心の中にはストレスがたまり、深い満足感を味わうものにはならないでしょう。
自分の描く仕事上のあり方や戦略的な判断基準、自分自身が本当に望むビジネスや社会に対する貢献のあり方、これからのことが明らかにしておかないと、飛び込んできた仕事の是非の判断もつかず、すべて受け入れてしまうことになってしまいます。
また、人生そのものにおいても同様でしょう。
本当に心から望む「理想」の自分を実現しようとするのならば、ばらばらとある欲求を目標として追い求めるのではなく、あなたの「価値観」を見つけ、目標と整合性をとらなければならないのです。
急に「価値観」と言われてもピンとこないかもしれませんが、ある程度のビジネスの経験や人生経験を積んだ人であるならば、すでに持っているものですから、難しく考えることはありません。
どんな人でも、心から充足感や満足感を得られることを行いたいと思っています。その充足感はどこからくるのでしょうか?
あなたが仕事をする上で、大切にしている価値観とはどのようなことでしょうか。
人を出し抜いてまで、出世の道を歩み、ひとつでも上の役職を手に入れることでしょうか。あるいは、あなた独自の才能によって、あなたしかできない独自の仕事によって確固たる存在感を出すことでしょうか、また、周囲の人たちから常に頼られ、周囲に満足感を与え続ける人になることでしょうか。
注意しなければならないことは、周囲のニーズに応えることに加えて、自分自身のニーズにも必ず向き合うようにしてください。
ビジネスは、相互関係で成り立っています。
ニーズがなければ、あなたの才能を生かすことはできませんし、あなたに独自の才能や能力があるからこそ、あなたに仕事を頼むのです。
そしてもうひとつ、すべての判断を行うのは、あなた自身であるということです。選択権は自分にあります。他の誰の価値観でもない、自分自身の価値観を見つけ、明らかにすることは、結果について、自分が責任を持つことになるということです。