Digital化の波が押し寄せ、経営戦略が短期化されている今、経営の要望に迅速かつ的確に応えるための有効な手法としてAgile型の開発が改めて注目されています。 非常に魅力的な手法である一方、これを正しく理解せずに適用し、後々トラブルに発展するケースも散見されます。 本質を理解し、うまく活用していくことが、成功への第一歩です。
連載第1回目には、Agile開発の本質を解説しました。
第2回目の今回は、Agile開発プロジェクトの成功の為のポイントについて、自身の経験則に基づき解説していきます。
私が実際にAgileプロジェクトを管理する中で導出した、成功のためのポイント全12点のうち、前編である今回は6点について解説していきます。
まずは、“体制”に関するポイントを3点示します。
ポイント①:設計者と開発者は同一の前提!
Agileの前提として、設計書などのドキュメントは作成しません。
これは、設計者と開発者が同一人物であるという前提に立っているからです。
しかし、実際プロジェクトのチーミングを行う際、このようなスキルセットの要員を必要数確保できるとは限りません。
設計者といては優秀だけど、プログラムはいまいち。プログラマーとしては優秀だけど、クライアントとコミユニケーションをとって設計をするのはちょっと。
という偏った要員の方が多いのが実情です。
その際には、設計者と開発者が分かれざるを得ませんが、そうすると両者間でのコミユニケーションが発生し、
設計書などのドキュメント作成が必要になるという点に注意が必要です。
そして、このような状況は、Agile導入の効果を損なう可能性がありますので注意が必要です。
ポイント②:設計リーダーを設置!
開発チームに高いレベルの要員を揃えられるのであれば不要ですが、大抵の場合にはレベルのばらつきがあるでしょう。
この様な際には、開発チームの中に熟練の設計リーダーを配置する事が有効です。
この設計リーダーはスクラムマスターなどの調整役とは違い、実際に設計の全体像を把握し、全体最適の観点からチームメンバーに助言する役割を担います。
これにより、品質のばらつきを是正でき、結果的に無駄な工数の削減につながる効果が期待できます。
ポイント③:意思決定できるクライアントを!
Agile開発では、日々タスクの優先度を考慮して調整を行います。
当然、優先度の高いタスクから実施していくことになりますが、調整するクライアントの
意思決定がブレたり、必要以上の時間を意思決定に要しているのでは満足いく効果を得ることは困難でしょう。
“プロダクトオーナー”と呼ばれるクライアント側にも高い意識とのスキルが求められるのです。
具体的なプロダクトオーナーの役割を示します。
- 明確な優先順位付けを恐れず行う(同位はNG)
- 明確な方向性を示し続ける
- チームの一員として振る舞う
- 開発チームと交渉を行う
次のページポイント⑤:先送りタスクをこなす余裕を持つ!
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
プロジェクトマネージャのためのAgile入門
2016.04.27
2016.05.04
2016.05.11