1991年6月3日、前年から噴火を繰り返していた雲仙普賢岳で大規模な火砕流が発生し、多くの犠牲者を出しました。
今日、6月3日は「雲仙普賢岳いのりの日」です。
1990年11月に噴火をはじめた雲仙普賢岳は翌1991年2月から活動が活発化し、6月3日に溶岩ドームが崩落、火砕流が発生して43人の犠牲者を出しました。また、堆積物により土石流の発生しやすい状態であった水無川から溢れ出た土砂によっておおきな被害をうけました。島原市は、犠牲になられた方々を慰霊し、噴火災害を風化させることなく、災害教訓を後世に伝えていく決意を新たにする日として、6月3日を「いのりの日」としました。
この日、火砕流とそれに伴う熱風(火砕サージ)により森林、家屋、農耕地などが広範囲にわたって破壊・焼失し、人々を飲み込みました。噴火の取材を続けていた報道関係者が多く犠牲になり、それまで地質学上の調査で推定される現象でしかなかった火砕流が、鮮明な映像として世界中に発信されました。火砕流の恐ろしさは、この時はじめて知れわたったのです。
まだ記憶に新しい2014年の御嶽山の噴火では、死者・行方不明者が63人にのぼりました。御嶽山でも火砕流が発生しましたが、登山道と異なる方向であったため、火砕流による死傷者はでませんでした。この時の主な死傷原因は、噴石の直撃によるものだったそうです。火口から半径1km程度の範囲では、直径数cmから5,60cmの噴石が雨のように降り注いだといいますから、逃げ場がないという状態だったようです。また、噴火の様子を撮影していたために避難が遅れ、上空5000mまで吹き上げられていた噴石の落下の犠牲になった人もいました。
地震、津波、台風、集中豪雨、そして噴火。この小さな島国は自然災害に常にさらされています。個人の時間軸ではめったに起きない出来事でも、全体で見ればいつどこで起きてもおかしくありません。火山列島を形成している山々は古来より噴火を繰り返しています。気象庁と各自治体の火山防災協議会では、全国34の火山で「噴火警戒レベル」を運用していて、今日も、いくつもの山で警戒レベル2の火口付近規制が続いています。山に登る前には、きちんと情報収集をしましょう。
つい先日、普賢岳の立ち入り制限区域にある溶岩ドームに「ようこそ溶岩ドームへ」「あんたはエライ!!」などの落書きがされていたという残念なニュースがありました。山を闇雲に恐れる必要はありませんが、「甘く見ない」というのもまた、危険を避ける知恵ではないでしょうか。
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