多くの企業で10/1の内定式を終えたところですが、実は学生の大部分や中小・中堅企業にとって就職活動・採用活動はまだ終わっていません。2016年度、新卒採用の振り返りとして、経団連の指針「就活後ろ倒し」の影響を探ります。
就活「後ろ倒し」は失敗
率直にいうと、2016年度新卒採用(以下、16採用)は、日本経団連の「指針」により採用活動(=就職活動)の時期が大幅に「後ろ倒し」になったことで、学生も企業も負荷が増え、混乱が生じ、一言でいえば「失敗」であったと思います。「採用活動後ろ倒し」の目的である「学業に専念する十分な時間を確保する」についてはもっともな内容だと思いますが、それが達成されたとは言いがたく、多くの関係者が改善を望んでいます。
論語にも「過(あやま)ちて改めざる、是を過ちという」(過ちは誰でも犯すが、本当の過ちは、過ちと知っていながら悔い改めないことである)とあります。起こったことをきちんと反省し、変えるべきことはできるだけ早く変えることが重要であると思いますので、この場を借りて振り返りを述べてみたいと思います。
結局、学生は勉強していない
そもそも、学生は「後ろ倒し」によって勉強するようになったのでしょうか。私が新卒採用のコンサルティングをしてきたなかで、直接学生の皆さんから聞いた限りでは、「後ろ倒し」によりできたはずの余剰時間は、学業には注ぎ込まれていないようです。むしろ「後ろ倒し」によって倍増した、企業でのインターンシップや(何人もの大学生から2桁以上の企業のインターンシップに参加したという話を聞きました)、相変わらずの課外活動に費やされたりしているようです。
大学生が勉強しないのは就活のせいではなく、もっとほかに原因があるのではないでしょうか。企業は学業を阻害しない採用活動をすべしという「指針」に文句はありませんが、正直、就活は学業問題の主要因ではないことが今回でわかったのではないかと思います。
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学生間の「就活格差」が助長された
「後ろ倒し」によって浮き彫りになった、より本質的な問題として、学生間の「就活格差」増大が挙げられます。端的にいえば「成績上位校」「理系」「体育会」「エンジニア」等、企業が欲しがる属性の学生とそうでない学生の間の格差です。15年度までは、企業の採用活動は「就職ナビ」が作ったオープンなマーケットで行われるようになってきており、水面下での採用活動は減ってきていました。その結果、「どんな企業でも受けたければ受けられる」世の中が実現しつつありました。しかし16採用では、「指針」の影響を受けない外資やメガベンチャーに対抗するため、日系大手はリクルーター制やインターンシップ等による事前の「水面下」採用活動に注力しました。
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新卒採用
2015.10.07