コンサルティングファームで使われるフレームワークで最もポピュラーなものが、「空、雨、傘」と言われるフレームワークである。ただ、残念ながら一般的にはなぜか普及しない。知っている人もいるが、本質的な理解に基づいて使えている人は、あまり見たことがない。一度、立ち止まって考えてみれば、本意の理解が深まり、使える方向に向かうと私は思うので、この機会に立ち止まって考えてみたい。
「空、雨、傘」とは文字通り、「空を見て、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」の略です。これは企業の意思決定を支援するフレームワークとして非常に強力です。
意思決定は何を決めるかといえば、アクションを決めるんですね。打ち手でも、施策でもいいですが、何をするのか?と決める。でも、根拠がないと決められませんね。
ごめんなさい。根拠の前に方向性がありますね・・・。
この、「空を見て、雨が降りそうだから、傘を持っていこう」は、「出掛けたい」という方向性を持った人のお話しです。
出掛けたい人が、空を見る。
空を見ると、どうも、雲がある。風は北西の風。湿った空気が流れ込んできている。
空を見れば、多くのファクトが得られます。天気を決定する大きな要因は、大気の状態ですね。温度、湿度、雲の発生。上空の気圧や、周囲の気圧状況までは見ただけではなかなかわかりませんけど・・・。
でも、出掛けたい人は思うんです。
うーん。これは雨が降りそうだ、と。
ここは、良く考えるとすごいことを言っています。空を見ただけで雨が降りそうだ!と言ってしまう。判断してしまう。この人は天気予報職人でしょうか?
私が小学校の時の先生は、夜に犬を連れてランニングすることが日課で、独自の天気予報を次の日の朝に発表していました・・・。けっこう、当たっていましたね。
でも、人間の感覚というのは、訓練を繰り返すことで、すごくなっていきます。指先の感覚で、金型の微妙な傾斜を作っていくおじさんたちが、川崎や大田区のあたりにはたくさんいますね。
で、ずーっと天気を予測し続けている人というのは、天気を当てたりします。はずすことも当然ありますが。
そう、雨が降りそうだ、はあくまで予測で、当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。でも、出掛けたい人は、そう思った。
だから、「傘を持っていこう!」ということを決める。
でも、なぜ傘なのか?というのは大事なことです。傘しか持っていない人なのでしょうか?雨合羽はスタイルに合わないから着ないのかもしれません。
雨が降るとしても、持って行くものには、いくつかの選択肢がある中で、傘を持っていくんですね。そういうことを決めているんです。
まわりくどい説明をしましたが、このプロセスと企業の意思決定は同じですね。
「出掛けたい」は企業としての意思です。ビジョンの実現に向かうには、この方向に行かなくてはならない。
でも、外部の環境はどうなのか?を見てみるのが、「そら」の部分です。空を見るのは、周囲の環境を見ている。いわゆる外部環境分析です。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。