2008.03.25
子供に尊敬されない親が、部下から尊敬される上司になれるか?
齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
企業のリーダーシップ開発をしていて、詰まるところ親学や家庭での父親の復権(子供たちの人間力の育成に責任を持つ)が本質ではないのかと思うことが度々あります。 皆様はどのように考えておられるでしょうか?
■深刻化する上司の悩み
また、新人を迎え入れる時期が近づいてきました。
先日、ある大手企業のリーダー研修(主に課長層)で多くの管理職の皆さんが新人の育成に悩んでいる姿と遭遇しました。
「何度、説明しても仕事を覚えない」「自分から報告してこない」「昔の新人より出来が悪い」「何を考えているのか分からない」・・・・・
無論、これらの悩みは事実であることは間違いないのですが。
確かに新人の皆さんを見ていると社会性が乏しい、彼らの親は、いったいどんな教育(主に躾け)をしていたんだと思うことが多々あります。
しかし、年代的に考えて、かなりの確率で彼らのご両親は、どこかの企業の管理職をしている。あるいは部下を持つ立場にあると思うのです。
逆に言えば、新人の育成に悩んでいる多くの管理職は、新入社員と同世代の子供を育ててきた親ではないのかと思うのです。
■何かおかしい家庭での人材育成
先日、ある雑誌を読んでいて「子供を「盆栽」に選良化教育の罠(AERA:’08.3.3)」こんな記事がありました。
「幼児から好奇心、能動的行為を引き出すのではなく、あれしなさい、これしなさいとやらせ、幼児にあれこれと注文し続ける。この自由度喪失が少児にも脳疲労(セロトニンなどの神経ホルモン欠乏)を起こさせる。そこから鬱、注意欠如、多動性障害、攻撃性などの障害が生じる」
この現象は、実にパワーマネジメントの強い上司の部下、特に若手社員の挙動に酷似しているのではないでしょうか。
さらに、ミドル管理職の方々とお話をしていて気づくことは、部下との問題以上に家族の問題に悩んでいる方が少なくないことです。この記事を読んでいてもう一つ、気づくことは善かれ悪しかれ母親の姿は記事の行間から感じ取れるのですが、父親の姿が希薄で感じ取れないのです。最も基本となる家庭での人材育成に父親の影が薄い。
さらに、もう一つの記事の「フィンランドは「補習」で世界一(AERA:’08.3.3)」では、「両親と一緒にニュース番組を見て国際情勢を話したり、討論番組を見ながらお互いの意見を言い合ったりする文化がフィンランドの家庭にはあるのです」との興味深い話が掲載されていました。
ここでの心象イメージは、家族全員で夕食のテーブルを囲み、談笑しながらドキュメンタリーを見たり、皆で会話をしている姿です。ご承知のとおりフィンランドは常に「学習到達度調査(PISA)」の上位に位置しています。頻繁に指導要領を改定したり、教育にお金を掛けても学力が低下し続けている日本とは対照的な国です。
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家庭という真の学び舎
2008.06.24
2008.03.25
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。