組織崩壊から脱し、日本企業が今、取り組むべき組織開発

2008.11.04

組織・人材

組織崩壊から脱し、日本企業が今、取り組むべき組織開発

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

私はこれまで多くの企業、組織の組織変革に関わってきました。状況や現象は多様です。100社あれば100社の事情があります。しかし、その真因は大きく3つに集約されます。

■組織力や組織の自律性が向上しない理由

 私はこれまで多くの企業、組織の組織変革に関わってきました。状況や現象は多様です。100社あれば100社の事情があります。しかし、その真因は大きく3つに集約されます。
? 自組織の可能性や潜在能力をイメージできて(信じて)いない。
? 組織マネジメントを理解し実践しているリーダーがいない。
? 経営者に組織開発の見識が乏しく、コミットもない。
これは現在の多くの日本企業が抱える共通的な課題です。

■なぜ組織が成長できないのか

 この標題を見て読者はどのような印象を持たれただろう。そもそも組織が成長するものであることを真に理解し、日々のマネジメントで実践されていると、感じた経験を持つ読者は居られるだろうか。
 日本において人材開発ばかりに目が行き、組織開発が注目されない理由に、組織が成長するものだと認識している方が極めて少ない点が挙げられます。短絡的に横行している論理は「良い人材を取れば成果が上がる」です。この考えも確かに真実ではありますが、であるならば何故、私達は組織を形成し、組織で働くのでしょう。すべての社員を個人契約とし成果に応じた報酬を支払う方が極めて合理的ではないでしょうか。
 私は仕事柄多くのリーダーの皆さんと対話する機会があります。そして同じ問いをします
「組織は何のためにあるのですか? 私達は何故、組織で働くのでしょうか?」
多くの方が「一人では成し得ない大きな仕事をするため。シナジーを生み出し大きな成果を生み出すため」と答えます。
 すべて正しい回答です。そして次の質問をします。「では皆さんの組織は今、回答した通りになっていますか?」・・・・沈黙。

■組織リーダーの役割

 そもそも組織管理者の役割とは何でしょうか。組織シナジーを引き出し、現在のメンバー数以上の付加価値と組織パフォーマンスを生み出すことではないでしょうか。
 しかし、組織成長を前提としたマネジメントの指導を受けた方は極めて少ないのではないでしょうか。そうです、私達は組織成長を前提とした組織マネジメントを知らないのです。無論、多くのマネジメント理論が無意味だと言っているのではありません。それぞれのマネジメント理論は組織の成長段階に応じて適切に使用しなければ効果が低い(場合によっては逆効果になる)可能性が高いのです。
 先にも述べたようにリーダーが組織を成長させシナジーを引き出すためには、組織成長プロセスの理解と自組織の成長段階の見極め、そして、成長段階に適したマネジメントが必要なのです。酷なようですが、今、日本の組織に必要なのはトップを含め、組織マネジメントを実践できるプロの組織リーダーなのです。

次のページ■組織の成長過程と組織の実情

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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