ようやく日本からも、正真正銘、ワールドクラスのネットサービスが生まれた。GPSとGoogleマップを使い、自分が訪れた場所にメモを残す『メモリ』。世界の見え方を変える可能性のあるサービスの本質に迫る。
最終回
「過去の自分と未来の自分が対話できる場」
■簡単に真似できて、決して真似できないシステム
「参入障壁なんてないですよ。ただ、今のメモリと一見似たようなものは作れても、同じものには決してならないと思います」
極めてシンプルなサービスだけに真似をすることは簡単。後追いで似たようなサービスを、誰かが立ち上げることもあり得る。以前ならビジネスモデル特許でのガードを考えるところだ。
「技術的には後追いすることは容易でしょう。ただ、仕組みだけを作っても、ダメだと思うんです。そこにどんな書き込みが集まるのか。メモリの価値を決めるのは、書き込まれたメモの内容に尽きますから」
開発をスタートしてから大川氏は、システム会社と濃密なコミュニケーションを繰り返してきた。それこそ入力される文字が「半角ズレるのを直してください」といった細部へのこだわりようである。
「そうやって一日中サイトをいじくって、ここをこうしたらもっと使いやすいんじゃないかって考えながら、実際に自分でもメモを書いている人間が携わらないと、今のメモリにはならないんですよ。意外にネットのサービスって、そういうものなんです」
まぐまぐを立ち上げ、成長させてきた大川氏の言葉だけに重みがある。クォリティは自らの身を削るような作業を繰り返してこそ、維持されるのだ。
「裏での改善作業は延々とやっていますからね。その結果が、目には見えないけれどサイトの雰囲気みたいなものに確実につながっている。そんな気がしますね」
好きこそものの上手なれ、という。システム開発がスタートして以来、大川氏はほとんどの時間をメモリに捧げてきた。その作業量は膨大。好きでなければとてもやっていられないだろう。
「間違いなく僕はここ一年ぐらいの間は一日中、メモリに関わってますから。でも、そうやって少しずつ完成していくのを見るのが、すごく楽しい」
作り込みに作り込みを重ねた結果が、いまの極めてシンプルなメモリとなっているのだ。その操作感は、極めて軽くストレスフリー。サクサク動いて、とても気持ちよい。
▲開発スタッフとのやりとりは基本的にメール。
対面してのミーティングはわずかに数回だったという。
■想像もしない使い方に期待したい
「先日、自分でもまったく考えていなかった使い方に気付いたんです。旅行に行くとき空港で写真を撮りますよね。次に出かける時もまた同じ場所で撮る。そうやって空港で撮った家族の写真が、たとえば成田にどんどん溜まっていくんです」
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FMO第17弾【株式会社MemoLi】
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