『BRUTUS (ブルータス)』2008年12/15号の特集「I ?YouTube」は、面白かった。 特に、「YouTubeにまつわるスゴイ数字、教えます」というコラムに掲載されている数値の数々は、テレビ凋落のニュースをあちこちで聞いている者にとって、説得力がある。
その数字を抜粋する。
●世界のネット人口は約10億人。
●その中でYouTubeを利用しているユーザーは2億8000万人。
●うち日本は1980万人で、日本でのページビューは数は1か月で約15億。
●日本の月間1人あたりの利用時間は平均1時間14分13秒。
アメリカの月間1人あたりの利用時間は平均51分なので、日本は世界一のYouTube大国というわけだ。
ちなみに、
●世界で1分間にアップロードされる動画は約13時間分。
●今あるすべての動画を見るには、約2000年かかる。
YouTubeの試験的サービスが始まったのは、2005年の半ば。
・・・ということは、ここまでの規模になるのに、わずか3年半しかかかってない。「動画投稿」には、1か月で約15億ページビューだけの魅力があるのだ。それは、何か整理してみた。
動画投稿の魅力①
『自分放送である』
ひとりで全部できる。自分で考えて、自分でディレクションして、自分で編集して、自分で投稿→メディアに掲載できる。
投稿動画の魅力②
『規制が緩い+好きなことを発信できる』
基本的に広告モデルではないので、規制が緩く・・・「好きなこと」を発信するというメディアの本質に立ち返れることができている。
投稿動画の魅力③
『設備投資が要らない=制作コストがかからない』
投稿したら→掲載される。パソコン一台ですべてがまかなえる。その機能自体の進化はあるだろうが、究めて仕組みはシンプルである。
以上の視点を揃えてみると、「制作コスト高+広告収入源」で苦しんでいるテレビとは、真逆のメディアであることがわかる。
そこで、考えてみるっ。
YouTubeに一番近い既存媒体って、「ラジオ」ではないかと・・・。
動画があるかどうかの決定的な大きな違いはあるが、
『自分放送である』『規制が緩い+好きなことを発信できる』『設備投資が要らない=制作コストがかからない』という3点だけを捉えたら、ラジオっぽくない?
・パーソナリティが、ほとんど1人で番組を仕切れること。
・テレビほど考査や規制が強くないこと。
・ほんの数人で操作できる、数万人を対象にした既存の設備があること。
ラジオがしゃべっている本人と、スタッフ数人が喰えれば良いというメディアになれば、細々とかもしれないが「面白いメディア」としてラジオは生き残れると思う。
テレビがそのメディア力を失いつつある根本的な問題は、「そんなにお金をかけて、そんなに高い給料の人達が集まって」→「その人達が喰わなきゃいけない儲かる番組を作らなきゃいけない=つまらない番組になる」という、悪いスパイラルにある。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。