「目を見れば、相手の力量はわかる」「名刺交換の姿を見てあいつを見切った」・・・。経験豊富なビジネスの諸先輩方々の中には、こういう物言いをされる方がたくさんいる。でも、そういう「できるビジネスマン風」発言をされる方に限って、こちらから見切りたい人が多いのも事実。何故か??? そこのところをIQレスラー・桜庭和志に聴いてみよう!
桜庭和志は、1969(昭和44)年7月14日、秋田・昭和町(現潟上市)生まれ。プロレスファンなら誰でも知ってるレスラーである。92年、プロレス団体UWFインターナショナルに入団。98年に高田道場へ移籍し、同年3月にPRIDE初参戦。グレイシー一族を次々と倒し「グレイシーハンター」として一躍トップファイターに。2000年には、プロレス大賞最優秀選手賞を受賞。中央大学卒業という経歴と、そのレスリングスタイルから、「IQレスラー」と呼ばれている。
そのIQレスラーが、「PRIDE名勝負伝説」(宝島社)の「シウバ戦を”名勝負数え唄”にする」で、秒殺(ほんの数秒で勝敗が決まること)の試合は面白くないということについて、こんな話しをしている。
桜 庭
「面白くないですよ。見てる人もやってる人も。少なくとも僕は面白くないですね。最低でも、5分ぐらいは……。3分から5分はこう肌を合わして、ゴロゴロしてね。楽しむっていう訳じゃないですけど、相手の攻撃とか、防御の癖とかあるじゃないですか。そういうのを見ながらやりたいですから」
インタビュアー→3分から5分ぐらいやると、分かりますか。
桜庭
「なんとなく、分かりますね。よく、握手するとわかるなんて、そんなの絶対ないです」
インタビュアー→組むと分かる?
桜庭
「分かんない、分かんない。ただ、力が強いか弱いかしか、分からないです」
インタビュアー→プロレスなんかだとよく、「ロックアップした瞬間に分かる」とか言うじゃないですか。
桜庭
「動いてみないと、絶対分かんないですよ。あと、目を見たら分かるなんて、絶対分かるわけない。相手が攻撃してくるときも、目を見ていれば何をしてくるか分かるなんて言うけど、絶対分かんないですから。目なんか見てたらボーンって、ハイキック食らっちゃいますよ」
こういう正直なことを言うから桜庭和志は、人気者なのだと思う。「組めば瞬時に見切れる」「目を見ればわかる」というまことしやかに伝えられている一流伝説は、幻想なのだ。きっと。
格闘技の世界では、圧倒的な実力差がある場合は、組んだ瞬間にすべてがわかり、秒殺で試合の勝敗が決まることもあろうかと思う。しかし、一流同志の戦いの間には、「組めばわかる」「目をみればわかる」なんて嘘っぱち。言い換えると「見切りをじっくりすること」こそ、一流の証しということになる。
一流のレスラーの攻防は、決して派手なものじゃない。ただゴロゴロしているように見えるけど、よーく見てみると、凄い技の応酬が展開されている。息もつかせぬ面白さだ。相手の力をじっくりと引き出し、互いに楽しんでいるように見える。
そう考えると、「目を見ればわかる」なんて直感に対して、疑問を感じたり、臆病になることが、ほんとの一流への道程なのではないだろうか。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。