ユーザー事業者数30万超。約90万種類もの商品を扱い間接資材のAmazonともいえる存在がMonotaRO、流通の仕組みが遅れた分野にネットで風穴を空けた革命児である。ただし革命には旧態勢力からの抵抗が付きもの。数々の試練に打ち勝ち、上場に到った同社の歩みを紹介する。
第3回
「資本金30億円のベンチャー」
■通販ビジネスの宿命
「これのどこがeコマースやねんって。立ち上げ当初はそれはそれはお粗末な代物でしたよ」
何とかサイトだけは立ち上げた。問屋を回って商品供給の約束も取り付けた。ところが問屋サイドでは、間接資材のeコマースなどといわれても何のことだかさっぱりわからない。何かの冗談ぐらいにしか受けとってくれてなかったのだ。
「注文を受けて喜び勇んで問屋さんに発注をかけるじゃないですか。そしたら、あんた誰ですかみたいな対応ですよ。しょうがないから近所の文房具屋さんに買いに走って発送するような体たらくでしたね」
現実は厳しい。スタートしたばかりのMonotaROはほとんどマンガみたいな状態だったのだ。実際eコマースエンジンこそASP導入という裏技を使えたが、電子カタログにそんなうまい手は存在しない。
「仕方がないからカタログは自分たちで作りました。写真をパチパチ撮って、商品説明も一つひとつ書いて。表向きは最新のネット通販なんていってたけれど、バックヤードは思いっきりアナログでしたね」
とにもかくにもサービスを開始したMonotaROだが、たちまちネット通販企業が避けて通ることのない関門にぶち当たる。顧客獲得である。
「頭の中にはいつもAmazonがありました。Amazonも長い間ものすごい赤字が続いたじゃないですか。何にお金がかかっていたかというと集客なんですね」
集客コストこそは通販ビジネスの宿命である。通販は最初の注文だけでは採算が合わない。それだけ顧客獲得コストがかかるのだ。2回、3回とリピートで発注してもらって初めて、その顧客については何とか採算が合ってくる。
「新規顧客を集めるためにはそれなりの投資が必要。じゃMonotaROを軌道に乗せるためには、どれだけの初期投資が必要か。30億円必要だと見積もっていました」
母体は確かに日本を代表する商社である。その年間売上からすれば、30億円は大した額ではないとの考え方もあり得るだろう。しかし冷静に考えれば絶対額としての30億円はとんでもない数字だ。この先どうなるかわかるはずもないベンチャー企業に、それだけの思いきった投資ができるものだろうか。
「住商とグレンジャーにさんざん掛け合った結果、何とか引っ張り出したのが1億2000万円でした。オフィスの賃料、人件費と考えていったら、たぶん1年ぐらいで吹っ飛ぶのは確実。何としてでも金を引っ張ってこなければならなかったんです」
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FMO第21弾【株式会社MonotaRO】
2009.03.17
2009.03.10
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2009.02.25