ユーザー事業者数30万超。約90万種類もの商品を扱い間接資材のAmazonともいえる存在がMonotaRO、流通の仕組みが遅れた分野にネットで風穴を空けた革命児である。ただし革命には旧態勢力からの抵抗が付きもの。数々の試練に打ち勝ち、上場に到った同社の歩みを紹介する。
最終回
「新しいマーケットの創造者」
■営業マンゼロの販売会社
「僕がうまくいった最大の要因は、やはり最初に30億円を引っ張れたことでしょう」
ベンチャーでは極めて異例な巨額出資を集めた瀬戸氏は、ビジネスで成功するためには絶対外せない二つの要件があるという。
「第一には、その商売が他と違うやり方で儲かるかどうか。二つめはそのビジネスをやっているのが、なぜお前なのか」
二つの問いにきっぱり答えられるかどうか。MonotaROに当てはめるなら、同社は間接資材の流通に革命を起こした。その点で第一の問いにははっきりYesである。加えて早くからネットビジネスに通暁し、しかも産業資材流通に長けた瀬戸氏がリーダーとあれば、二つ目の問いもクリアしている。
「もちろん30億は僕なりの試算があってのことです。最初の集客はチラシしかない。仮に10万部打つとすれば印刷費、郵送費あわせて最低600万円はかかる。これだけ打ってもレスポンス率はせいぜい平均0.5%、何か買ってくれるお客さんは500人ぐらいなんです。購買単価は平均1万円だから、売上合計で500万円。利益率を最高の20%と見込んでも総額で100万円。実質的には500万円捨てて500人の新規顧客をつかまえているわけです」
MonotaROが採算ベースに乗ったのは2004年、この頃に顧客数が10万事業所を超えた。新規顧客500人を獲得するコストが仮に500万円だとすれば、10万人獲得するためのコストは単純計算で10億と出る。他にも在庫を揃えなければならないし、倉庫に物流システムもとなれば、30億円という数字の裏には相当に確度の高い読みがあったのだろう。
「何しろうちは営業マンはゼロですからね。マンパワーは一切かけていません。最近でこそネット広告も使えるので集客コストは下がっていますが、我々と同じことをいまからゼロベースで立ち上げるのは相当に厳しいでしょうね」
一時期Amazonは永遠に利益のでないモデルだと評価された。ところがいまでは、大不況下のアメリカでも着実に利益を叩きだす超優良企業と評されている。取扱商品も何でもありだ。ビジネスをスタートした時点でしっかりと腹を括り、集客のために思いきったコストをかける。腹の括り方が二番手の追随を許さないレベルにいち早くたどり着く秘訣なのだろう。今まさにMonotaROは、間接資材分野で確実にそのポジションを獲得している。
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FMO第21弾【株式会社MonotaRO】
2009.03.17
2009.03.10
2009.03.03
2009.02.25