GW明けには合計50万人の観光客が日本へ戻ってきます。成田空港の検疫は強化され、地方空港のチャーター便への対応は進まず、アンバランスな水際作戦が展開されることになります。そこで、もし自社の社員が隔離された場合を考えます。
労務管理の基本は、業務か否かということです。
海外渡航の目的がビジネスなのかプライベートなのかという判断が最も重要です。そして、足止めの理由が不可抗力か否かということが次の判断基準となります。
そして、ケースを考えるにあたり、例えば台風やハリケーンによって飛行機が飛ばない時のことをイメージして頂ければと思います。
「旅行中」に飛行機が飛ばないために帰国が遅れたとなれば、自然に「有給休暇申請」が頭に浮かぶと思います。「出張」の帰りに飛行機が飛ばないため帰国できないとなれば、会社に相談して「待機」を命じられるでしょう。この判断基準が後々重要になります。
では、社員が海外渡航中に隔離され、日本へ帰国できない場合や、帰国できたにも関わらず、感染者と同乗していたために空港近くに隔離されたらどうすればよいのでしょうか。
まず、旅行のケースで考えるならば…
旅行中の隔離(今回で言えば香港のケース)や、帰国後の隔離(成田空港近くでの隔離)によって出社ができない場合は、本人が有給休暇を希望しない限り、無給休業となります。
但し、本人の不可抗力という点を考慮して、人事考課にまで踏み込むのかどうかは、新型インフルエンザがそもそも免疫を持たないウィルスであり、誰でも罹る点から考えて判断する必要があります。
一般論では判断が分かれますが、先般公開した休業規定のサンプルにあるとおり、勤務日数ベースでボーナスの査定に多少響いたとしても、人事評価や退職金、基本給への影響は避けるべきだと考えます。
次に、出張や赴任先からの帰国のケースで考えるならば
業務命令による移動中のトラブルですので、基本的に本人の責はありません。ですので出社できない期間も有給扱いとなります。また、感染の恐れを回避するためにあえて自宅待機として潜伏期間を過ごす必要がある場合も、業務命令とみなし有給でなければなりません。(入院による休業は就業規則に従い別途検討する必要があります。)
あくまでも移動の理由がビジネスなのか、プライベートなのかで判断をする必要があるということになります。
また、新型インフルエンザの感染の疑いが出た場合は、公共の交通機関であれば、その対象者の周囲に座っていた方々も同時に隔離されます。それが、複数の座席で確認されれば、1機ごとの隔離が行われることになるでしょう。
現在の厚生労働省の対応のテンション(盛り上がり具合)で考えれば、複数の感染者が確認されると、搭乗者全員をまとめて隔離をすることになると思いますし、潜伏期間が良く分かっていなければ、可能な限り(10日前後)隔離しておくという判断が働くことと思われます。
最後に、隔離期間中の対応については、休業として扱うか、在宅勤務として遠隔での業務を行うのかという判断を行う必要がありますが、在宅勤務については、機密情報や個人情報の取り扱いに関する取り決めが必要になりますので、在宅勤務で働く必要性の判断と準備及び方法については、別の機会に改めます。
2009年 新型インフルエンザ対策 手法
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