現段階では、経済情勢に対するネガティブインパクトや米国政府の比較的冷静な対応状況も踏まえて、厚生労働省や自治体が特定の企業を操業停止に追い込むことは考えにくいのですが、一応気になるので書いておきたいと思います。
新型インフルエンザの発生後は、検疫にしても保健所を経由した受診にしても、本人は感染症指定病院へ搬送され、発症者が立ち寄った場所へは厚生労働省や自治体、感染症研究所による検査が行われることになるでしょう。では、潜伏期間中に空港の検疫をパスして、勤務開始後に発症が確認された場合、どのような対応を行うことになるのでしょうか。
この発想の背景としては「特定の地域で新型インフルエンザが発生した場合に、行政は、管轄区域の集団感染阻止と、管轄区域内の特定企業の操業維持のどちらを犠牲にして、どちらを優先させるのだろうか?」という疑問です。
ここで気になるのは、都市圏に多い商業ビル内の1室で発生が確認されてビル1棟が管理下におかれる状況です(小売店が集中する商業施設における発症確認は規模が大きすぎるので、ここでは避けます)。
他にも発症者が20代~40代に集中するような話しも気になりますが、病理的なものについては専門家ではないので記載は控えます。
1つのフロアで発症が確認されれば、まずはそのフロアの隔離がなされると予想されますが、エレベーターでの移動がありますので、ビル1棟での隔離措置に発展する恐れがあります。
そして、全フロアに入る企業の社員及び顧客、業者さんの出入りの履歴がチェックされ、該当者の診断及び移動先の調査及び隔離措置が実施されることになるでしょう。
企業のリスクマネジメントの観点から考えるならば、社員が発症するか否かという点も重要ではあるのですが、同じビルの中に入っている企業で発症者が見つかった場合に、強制的に執務スペースから切り離された状況で、いきなり対応に迫られる可能性があるということを考えなければなりません。
緊急連絡網の整備もそうですが、顧客への連絡や状況説明など、隔離期間中の操業に関する報告体制を準備しておく必要があるでしょう。
中には、そんな状況になれば何もできないので、全て放棄するというのも一つの方法かもしれませんが、豚に起因する今回の新型インフルエンザが弱毒性で被害は拡大しにくいというニュースが増えている状況だからこそ、対策はきちんと講じておいた方が良いのではないかと思うわけです。
こう書いてみると、考えすぎではないか、騒ぎすぎではないかと思われるかもしれません。リスクマネジメントですから、その認識でよいのですが、イザそのような状況に置かれた場合に、落ち着いて動けるかどうかは、事前に想定していたか否かにかかってきます。
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