阿寒湖に生息する特別天然記念物“まりも”をモチーフとしたキャラクター「まりもっこり(人の姿をしたマリモの股間がもっこりしているというゆるキャラ)」は、未だ、人気だ。 しかし、そのゆるーいエロブームにあやかって開発された秋田発の幻のマスコットキャラクター「きりちんぽ」は、非難が殺到。発売中止の憂き目にあった。 さて、どうしてなのか?
日経エンターテイメント8月号には、「時代を読み解く!ヒットキーワード厳選11」という特集が組まれていた。そこに、『草食系男子』や『婚活』に並んで、『ゆるエロ』が登場している。
この『ゆるエロ』には、大きく2つの意味があるらしい。
ひとつは、
直接的な表現もさらっと聞き流せるような工夫が凝らされた下ネタ
芸人で言えば、性にまつわるあるあるネタを詩吟の節にのせて謡う天津・木村の「エロ詩吟」。コントグループ我が家のイケメン・坪倉の真顔で言うエロネタ落ちが、それに当たる。
卑猥さよりもバカバカしさ。若い女性でも笑えるようなモノであることがミソのようだ。
ふたつめは、
身体の強調しないゆるいシルエットのファッション
ピタピタより、ゆるアイテムから見える素肌の方が絶対にエロい。「見せます」ではなく、「見えちゃった」という・・・女性側が狙っていないエロいファッションを『ゆるエロ』と呼ぶそうだ。
※資料/日経エンターテイメント8月号「時代を読み解く!ヒットキーワード厳選11」より
下ネタを言ってる方も、その下ネタにこっそり突っ込んでいる自分も『許されるエロ』。
ゆるいファッションの隙間から覗く下着や素肌を見せている方も、こっそり見る方も『許されるエロ』。
そう、
『ゆるエロ』ブームとは・・・「エロ」に関する「許すハードル」が、低くなっていることの現れであるわけだ。
自分に対する「ゆるさ」は、どんどんハードルを低くしている。「熱い」ことよりも、ゆるい=適当・いい加減、適当な感じの方がクールでカッコいいという美学が、世間に広まっているちゅうことである。自分に対する「ゆるさ」を「許す=あるものとする」若者達の増大とともに、『ゆるエロ』芸人やファッションは流行するのだ。
そこで重要なのは、「許すか、許さないか」「ありか、なしか」という、ゆるさが美学になる若者達の価値基準である。
自分にゆるくて甘く、他人に厳しい・・・。
オレ様基準の「小さな正義=許すハードル」が、近頃の若者たちには絶対的にあるようだ。
それは、エロのような自分の欲望に向けられたときには、極端に低くなる。しかし、それが社会に向かったときは、一挙に「許すハードル」は、高くなる傾向がある。
『ゆるエロ』ブームを、そのように捉えたとき・・・天津・木村の「エロ詩吟」の最後のフレーズ「あると思います」は、万能のコトバである。
どんなひどい下ネタ=許せない下ネタも、「あると思います=社会一般の範疇に入っている」と締め括ることよって「許すハードル」がクグッと下がる。「あると思います」は、自分の中の小さな正義の指標を表すコトバである。下ネタを言った本人が、自嘲気味に「あると思います」と宣言した時点で、すべてが「ゆるーい」構図の中に納まる魔法がかかる。
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私的マーケティング論
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。