日記を外国語で書く。書いた日記を、その言葉を母国語とする人間が添削する。相互扶助型の語学学習SNS『Lang-8』は、日本初にして唯一のシステムだ。この1年間でユーザー数は一挙に10倍に増加。世界で1億人のユーザー獲得を目指すLang-8のビジョンと展開戦略を紹介する。
第2回「この添削をmixiでやったらどうなる?」
■キッカケは上海留学
「個人的なキッカケを掘り下げるなら、僕自身が幼い頃から言語学習に敏感だったことと、母国語を自然に話せなかった劣等感があったことでしょう」
喜社長は4歳の時、両親とともに中国から日本にやってきた。日本語にはすぐになじめたものの、逆に中国語をうまく話せなくなったことを幼い頃から気にかけていたのだ。
「そこで大学生の時に一年間、上海に語学留学しました。そのときの経験が、Lang-8での起業につながったことは間違いないですね」
上海留学時代はまだ、いまのように誰も彼もがブログを書くような状況ではなかった。そこで喜社長は日々の出来事を、Wordを使って日記にしたためていった。
「書いた日記は中国人の友だちに添削してもらっていました。これがすごく勉強になる。一方的に添削してもらうだけじゃ申し訳ないので、代わりに僕は日本語を教えてあげました。まさに相互扶助、なかなか良い仕組みでしょう」
その結果、最初はせいぜい二三行しか書けなかった日記が、いつしか何ページも楽に書けるようになったという。一方で喜社長が帰国したまさにその頃、日本ではmixiが大流行し始めていた。もしかしてSNSを使って相互添削をやれば、面白いことになるんじゃないか。ひらめいた喜社長はすぐに動く。
「大学の友だちでプログラムに強い人に構想を話してみたんです。そうしたら、おもしろそうだって話が弾んで。じゃあプログラムを組めるかとたずねたら、やってみようということになりLang-8がスタートしました」
おもしろいからやってみよう。ネットビジネスで何より大切なのは、このフットワークの軽さだ。あとはプログラムの知識さえあれば、それなりのネットサービスをたちまちのうちに、しかも驚くほど低コストで始められる時代である。
「おもしろさ故に始めたとはいえ、決して遊び半分でやっていたわけではありません。やるからには世界最高の語学学習サイトを目指そうと初めから決めていたし、だからこそあえて日本では最初、一切PRはやらなかったのです」
■戦略的な会員募集
なぜ、日本で会員募集をやらなかったのか。世界に打って出るためには、ファーストインパクトが何より肝心だと考えたからだ。このあたりのスケール感が、あまたの日本発ネットベンチャーとは少し違うところだろう。
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FMO第30弾【ランゲート株式会社】
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