日記を外国語で書く。書いた日記を、その言葉を母国語とする人間が添削する。相互扶助型の語学学習SNS『Lang-8』は、日本初にして唯一のシステムだ。この1年間でユーザー数は一挙に10倍に増加。世界で1億人のユーザー獲得を目指すLang-8のビジョンと展開戦略を紹介する。
最終回「ともに世界一を目指すパートナーを求めて」
■めざせ1億人の会員獲得
「自分のやっていることがお金になるなんて確信は、実はまったくありませんでした」
趣味なのか、ビジネスなのか。サービスを立ち上げた当初は、喜社長にも見当がつかなかったというのが正直なところらしい。とにかく面白いからやる。やってみたらユーザーがついて、やめられなくなった。案外、そんなところからのスタートだったのではないか。
「ちょうどその頃、ベンチャー系の社長さん何人かとお知り合いになる機会があったんです。彼らに相談してみると、皆さん揃ってとにかくやってみたらと後押ししてくれました」
自ら起業体験のある人物だからこそ、新しいサービスが誰かに価値を提供できるかどうかを、嗅覚で判断できるのだろう。その意味ではLang-8はベンチャー起業者たちのお墨付き、間違いなく世界中で多くの人に価値を提供できるシステムといえる。
「目標ユーザーは1億人です。現状を考えれば、何をバカなと思われるかもしれませんけれど。でも、英語を勉強している中国人が世界にどれぐらいいるかご存じでしょうか」
その数、なんと4000万人を超えるという。とりあえずネット時代の公用語英語を学びたいと考える人は、それぐらいのスケールでいる。
「日本語だって捨てたものじゃありませんよ。私が掴んだ情報では、日本語学習者は世界で300万人ぐらいいるそうです。ということは、日本語クラスの言語を20ぐらい集めていけば、ざっと5000万人ぐらいはいくでしょう」
既存のe-Learning型サイトとも本質的にはバッティングしないことが、Lang-8の良いところだ。文法や単語などはそうしたサイトで学び、より実践的な文章表現を学ぶ手段としてLang-8を使えばいい。ユーザーサイドで十分に使いわけできるのだ。
「とはいえ会員数が増えてくるとサーバーを強化しなければならないし、通信回線だってそれなりのものを引かなければなりません。先立つものがどうしても必要なんですね」
実際のところ、Lang-8の収支はどうなっているのか。
■いかにテイクオフするか
「とにかく人手が足りないんです。急激にユーザー数が伸びてきているから、広告営業にも回りたいと焦っているのですが、今のところそれができるのは僕しかいないんですよ」
月に1度ぐらいのペースで東京に出張し、その際に代理店を回ってくるのがやっとだという。その出張もホテル代を節約するために、先輩はじめ知り合いのところを泊まり歩いているのが実情だ。現在、Lang-8にフルタイムで関わっているのは、喜社長とCTOを務める松本氏の二人だけである。
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FMO第30弾【ランゲート株式会社】
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2009.12.03