商社マン しんちゃん。 走る! (35)

2010.01.20

営業・マーケティング

商社マン しんちゃん。 走る! (35)

三宅 信一郎
株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。

【前号までのあらすじ】

海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか?  一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。  ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこで、日本ではとても経験できそうに
ないビジネス体験をこなして、大口契約をものにしたしんちゃん
であったが、商社の海外ビジネスの楽しさ、苦しさを嫌というほど
味わった出張であった。
これからいよいよ本格的に、入社以来の夢である花の駐在員として
海外に打って出て、海千山千のビジネスマン相手に勝負することに
なる。 ただ、その活躍の場が、世界でも特異な国と認識される
ところで頑張ることになるとは、当のしんちゃんも全く知る由も
なかった。

< や、やったー! パリはなくなったが、これでおれも晴れて
   マドリッド 駐在員や。

   バルセロナのサグラダファミリアや! ガウディや!
   エッフェル塔やベルサイユ宮殿、セーヌ川もええけど、スペインも
   最高!!

   メッチャかっこええやん!

   このヨーロッパ駐在員野郎!  しんちゃん様! >

マドリッド津田沼店長から、マドリッド駐在のラブコールをもらって
意気揚々と帰国したしんちゃんであった。

無事予定通り日曜日に帰国しさっそく月曜日に早朝から出社し、机に座って
テレックスを読んでいると、朝10時ごろ、宮田の電話に、重工プラント
本部本部長の吉田の秘書の女性から内線電話がかかってきた。

「吉田さんが、急ぎの件でお呼びです」

 < な、なんや。 えらい早いな。
   これって、津田沼さんが言ってはった、マドリッド駐在決定の
   お呼び出しなんかいな。 
   それにしてもえらい早いな。

   やっぱ、流石津田沼さんのことや、これぐらい素早い根回し当たり前
   なんやろうな!
   商社マンはこうでなくっちゃあかへんで >

急いで、重工プラント本部本部長の吉田の部屋をノックした。

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三宅 信一郎

株式会社BFCコンサルティング 代表取締役

事業力強化・新規事業開発・創業支援コンサルタント 自動認識基本技術者 (JAISA:(社)日本自動認識システム協会)認定

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