~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
【前号までのあらすじ】
海外の名だたる企業とビッグビジネスをすることを夢見て、憧れの
総合商社に入社したしんちゃんであったが、配属後すぐに地道な国
内商売の担当になってしまう。 同期が華やかな輸出入ビジネスな
どの海外取引、海外出張などグローバルなビジネスに関与しだし始
めているなか、自分は一体いつまで地味な国内商売に関与し続けな
ければならないのか? 一体いつになったら海外とのビジネスに
携わることができるのか? と、自分の抱いていた夢やあこがれと
現実のギャップに毎日悶々と自問自答する日々が続いていた。
3年目を迎えたある日、海外への飛躍の機会が突然転がりこんで来
た。 ただ、出張を命じられた国は、戦争真っただ中のイスラム
の大国、イランであった。 そこで、日本ではとても経験できそうに
ないビジネス体験をこなして、大口契約をものにしたしんちゃん
であったが、商社の海外ビジネスの楽しさ、苦しさを嫌というほど
味わった出張であった。
これからいよいよ本格的に、入社以来の夢である花の駐在員として
海外に打って出て、海千山千のビジネスマン相手に勝負することに
なる。 ただ、その活躍の場が、世界でも特異な国と認識される
ところで頑張ることになるとは、当のしんちゃんも全く知る由も
なかった。
< や、やったー! パリはなくなったが、これでおれも晴れて
マドリッド 駐在員や。
バルセロナのサグラダファミリアや! ガウディや!
エッフェル塔やベルサイユ宮殿、セーヌ川もええけど、スペインも
最高!!
メッチャかっこええやん!
このヨーロッパ駐在員野郎! しんちゃん様! >
マドリッド津田沼店長から、マドリッド駐在のラブコールをもらって
意気揚々と帰国したしんちゃんであった。
無事予定通り日曜日に帰国しさっそく月曜日に早朝から出社し、机に座って
テレックスを読んでいると、朝10時ごろ、宮田の電話に、重工プラント
本部本部長の吉田の秘書の女性から内線電話がかかってきた。
「吉田さんが、急ぎの件でお呼びです」
< な、なんや。 えらい早いな。
これって、津田沼さんが言ってはった、マドリッド駐在決定の
お呼び出しなんかいな。
それにしてもえらい早いな。
やっぱ、流石津田沼さんのことや、これぐらい素早い根回し当たり前
なんやろうな!
商社マンはこうでなくっちゃあかへんで >
急いで、重工プラント本部本部長の吉田の部屋をノックした。
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商社マン しんちゃん。 走る!
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