ユーザーとメーカーが協働でマス商品を企画・開発する。ありそうでなかった仕組みが『マス・コラボレーションモデル』。F1層を中心としたユーザーの感性とメーカーの技術力をネット上で融合し、モノづくりに活用する。新しいプラットフォームを目指すアゲハのモデルに迫る。
第2回「目指すのはプラットフォームビジネス」
■リアルなお店からネットへの導線
「私たちオリヒメブランドのPCケース、PCバッグは、すでにいくつかの百貨店さん、量販店さんの店頭に置いてもらっています。これからはショップ店頭からバーチャルなサイトへの導線作りが勝負ですね」
アゲハがプロデュースする商品は、オリヒメオンラインショップで売られているだけではない。女子大生の感性を的確に反映した製品は、感度の高いショップからも目を付けられているのだ。
「でも店頭に並んでいる商品だけでは、惜しいと思いながら買わないお客さまもたくさんいるはずです。その人たちを私たちのサイトに引っ張ってきたいのです。サイトでは自分の思い通りにカスタマイズできるから」
お店で現物を手に取ってみるところまで行ったお客さまとはすなわち『惜しい』思いを抱えた潜在ユーザーである。店頭では表に出てこない彼女たちの声を引き出す仕組みが、アゲハのサイト『オリヒメオンラインショップ』なのだ。
「どこかが少し気に入らなかったわけですよ。だったらサイトで『惜しい』商品をベースにして、自分の好きなようにカスタマイズしてくれればいいんです。それを欲しい人が20人以上集まれば商品化されますから」
サイトにアクセスして、カスタマイズしようと思ったユーザーは初回だけアンケートに答えなければならない。求められるのは年齢、性別、職業、愛読誌などファッション系統、住んでいる地域といった基本的なユーザー属性から、該当商品を知ったチャネル、価格感度から提案・投票の動機などだ。これがかけがえのないデータとなる。
■オンラインショップ&データベース
「具体的にどんなデザインが、いつ、どこで、誰に、なぜ、いくらで、どのくらいの人気なのか。私たちのサイトには今後、貴重なデータがどんどん溜まっていきます。それを分析すれば、何が出てくるでしょうか」
量産品メーカーが喉から手が出るほど欲しいデータ提供を、アゲハは目指している。リアルなユーザーニーズ、しかも一定量のボリュームを見込めるニーズに基づいて商品開発すれば、ヒット商品となる確率は高い。実現すればアパレル業界に革命が起こると言っても過言ではないだろう。
「需要予測など本来不可能というのが、アパレルの常識ですよね。でも、私たちの持っているデータをベースに商品開発すれば、在庫ロスや機会ロスを減らせるでしょう。そうなればメーカーの収益性を画期的に高められるんじゃないでしょうか」
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FMO第31弾【株式会社アゲハ】
2010.02.12
2010.02.04
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2015.01.21