国連開発計画(UNDP)によると、世界には教育が満足に受けられない子供達が、初等教育レベルで1億3,000万人、中等教育レベルで2億7,500万人いる。そこには、貧困、戦争、家庭環境など様々な要因がある。そのような中、NPO法人OLPC(One Laptop per Child )は、世界中の特に開発途上国の子供たちに、教育の機会を与えようと活動している。
子供用ノートパソコン「XO」の普及活動は、単なるノートパソコンの配布に留まらず、世界の子供たちに教育の機会を与えている。「XO」は100ドルPCとも言われ、低コストで前例のない高性能・低消費電力設計されており、革新的なコンセプトの製品に仕上がっている。遠隔地や農村部に対応すべき、ハンドルモーターを搭載している。また、35ヵ国に配布され25の言語に対応し、既に130万人以上の子供達の手に渡っている。
ITmediaによると、「XO」のスペックと今後の進化は以下の通り。
2010年1月に、「XO 1.5」をリリース。基本デザインは現行XOと同じで、CPUを米AMD製から台湾のVIA Technologies製に変更し、スピードが2倍に、DRAMメモリとフラッシュメモリがそれぞれ4倍になる。搭載OSはLinuxとWindowsから選択できる。価格は約200ドルになる予定だ。
2011年初旬には英ARM性プロセッサ搭載の「XO 1.75」をリリースする。基本デザインは変わらないが、ゴムによる緩衝仕様になり、タッチパネルを採用する。スピードは2倍に、消費電力は4分の1になるという。価格は約150ドル。
2012年には、まったく新しいデザインの「XO 3.0」を計画している。プラスティック製のタブレット型で、2008年5月に発表した見開き仕様のタブレット「XO 2.0」は中止し、その代わりに開発する。価格は100ドルを目指している。
低価格もさることながら、このスタイリッシュなデザインを見て欲しい(下図)。実に楽しい。先日、発表された米アップルの「iPad」にどことなく似ているが、開発はこちらの方が先だし、見方によっては、「XO」の方が優れたデザインかもしれない。また、タッチパネルを搭載していることから、学習とも親和性が高そうだ。
実際に教育を受けるには、学習する場と本人のモチベーションが必要である。「XO」は、これらに対して見事に答えてくれる。ハンドルモーターを搭載しているから、電力は不要。だから、家でも外でもどこでも学びの場に変わる。また、このユニークで斬新なデザイン、タッチパネルによるダイレクトな操作感、エデュテインメントをベースにしたソフトなど、思わず「勉強したい!」を唸ってしまいそうだ。子供一人ひとりに「XO」が配られれば、いつでもどこでも学習することができる。まさにユビキタス・エデュケーションである。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.17
2009.10.31
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。