寄付金3千万円をパァッと美術書購入に使っちゃう地方行政って?

2010.03.22

ライフ・ソーシャル

寄付金3千万円をパァッと美術書購入に使っちゃう地方行政って?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

先週、地方の図書館のニュースが、こっそりとメディアを賑わした。これが、まったく対照的なお話で考えさせられる・・・。

ひとつ目は、

兵庫県たつの市立図書館のニュース。


http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/0002790039.shtml

昨年7月、たつの市内の篤志家から「図書館充実のため」と3千万円の寄付を受けた同図書館が使い道を検討。その結果、1冊1240万円のイタリアの美術書「ミケランジェロ ラ・ドッタ・マーノ」を購入し、市立龍野図書館で所蔵することを決めたというものだ。輸送料などを含め購入にかかる費用は1760万円という。さらに、同図書館は800万円かけて専用端末を設置、入館者が閲覧できるようにするという。表紙に大理石の彫刻を施した世界に33部しかない希少本で、日本での所蔵は同図書館が初めてだというのだが・・・・しかし、このお金の使い方は、正しいのか?
※神戸新聞ニュース「1240万円の美術書購入 市立龍野図書館」より

1、美術品としての価値のあるものを置くのが図書館の充実なのか。
2、市民の手に触れることのない希少本は図書館を充実させるのか。
3、2008年に刊行された美術書の資産的価値への判断は正しいのか。

3千万円を寄付された方は、徳が高い方のようで、いちいちその使い道に口出しをされていないみたいだが、ネットの中では、その親方日の丸なお金の使い方に否定的意見が多い。

きっと、寄付金を残しておくと、来年度、再来年度の予算獲得に支障が出るので、使い道の結論を急いだ。また、他の蔵書を一度に増やすことに使うと、それを維持するための経年費用がかかるので、一冊で管理がしやすいものを選択した。そういう判断が「1冊1240万円のイタリアの美術書」購入の背景であろう。でも、市立の図書館の充実が「美術品を購入すること」に帰結するのは、どんな理由があっても、、、議論を尽くしているとは、到底、思えない。

・・・で、ふたつ目は、

富山県舟橋村立図書館のニュース。

富山県舟橋村の面積は、全国最小の3・47平方キロメートル。日本一面積が小さい村にもかかわらず、その人口増加率は、全国第2位なのである。1992年に1450人だった人口は、15年 後の2007年に2900人と倍増し、今年の3月11日、3001人に達したというのだ。
その、65歳以上の高齢人口が15.4パーセント(県内平均22.7パーセント)、15歳未満の年少人口23.1パーセント(同13.6パーセント) と県内平均を逆転させたような数字となっている。限界集落かと思いきや・・・そうではないのだ。
※文部科学省「舟橋村立図書館における村おこし駅舎との一体化」より
※ニュースasahi.comぷらっと北陸「舟橋村を行く」より

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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