「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」―――上司との関係が悪ければ、上司の1つ1つの発言・命令まで嫌に感じてしまうものです。そんなとき「心にフィルター」を入れましょう。
◆あの人の話は正論だが聞き入れたくないという心情
私たちは他人の発言に対し、
「あいつの言っていることは正論だが、あの言い方が気に入らない(だから受け入れない)」とか、
「よりによってあんな人間からそれを言われたくない(だから無視してしまえ)」など
の反応を起こすときがあります。
人は往々にして、好意を持っている人の発言はまるまる聞き入れやすいのですが、
多少なりとも嫌悪感を持っている人や、まったく見ず知らずの人の発言に対しては、
たとえ言っていることが正しいと思われても、その「言い方」や
「誰が(目上か目下か、男か女か、どんな社会的立場の人間か、風貌はどうかなど)言ったか」を問題にしてしまい、
素直にそれを受け入れることができない場合があります。
◆心にフィルターを入れよう
単なる世間づきあいの関係であれば、他人の発言は受け流すこともできますが、
これが上司/部下の関係ともなると話が違ってきます。
部下にとって上司の発言や命令は、ほぼ全面的に受け入れなければならないものです。
上司との相性がよく、良好な関係下であれば問題はないのですが、
もし、自分が上司と反りが合っていない、
もしくは上司に対して違和感や嫌悪感、不信感を抱いている場合には、
上司の発言や命令がいちいち気に障るというストレスが生じます。
上司の発言や命令が皮肉交じりであったり、慇懃無礼であったりし、
なおかつ正論であればあるほど、部下にとっては受け入れがたいストレスとなります。
そんなとき、心の中に「フィルター」を入れましょう。
「誰が」「どういうふうに」言ったかを除去し、
「何を」言ったかだけを濾過するフィルターを自分の中に組み込むのです。
「何を」言われたかだけを淡々と受け入れ、淡々と処理し、行動する。
ただ、それだけです。
◆上司の発言・命令を3つに濾過する
このことを下の図を使っておさらいしましょう。
上司の発言・命令は、3つの構成要素から成っています。
それを優先順位の高いものから並べてみます。
〈1〉「何を」言ったか・・・「内容」の要素
〈2〉「誰が」言ったか・・・「発信者」の要素
〈3〉「どう」言ったか・・・「態度・方法」の要素
上司から何か発信があったとき、部下である私たちはまずそれを受信します。
そして意識的にフィルターを設けて、その発信を三つの要素に濾過して分離します。
まず上司が「どう」言ったかについて。
もし上司が嫌ったらしく言ったとか、冷たく言ったなどであれば、
それはフィルターでろ過して取り除いてしまい受容しないようにします。
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【賢い部下ほど上司を活かす】
2010.05.22
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キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。