OJTの定義と上手く機能するポイントについての解説。
新入社員を迎えてから早いもので一ヶ月以上が過ぎました。一ヶ月間の教育の成果はいかがでしょうか。企業に入社後の教育方法について質問してみますと、ほぼ100%「OJT(オンザジョブトレーニング)」と答えるのではないかと思います。
OJTとはその名の通り、仕事を通じてトレーニングをするということですが、その実態は、配属先に放り込み見様見真似でやらせるだけだったり、現場社員のマンツーマン指導に任せっきりになっていたりするようです。トレーニングとは名ばかりで、現場任せにしておけばよいという認識になっている企業が少なくないように思います。
問題は大きく3つにまとめられます。①職場毎に育成計画や内容にバラツキがあり、配属先によって成長スピードに大きな差が出ているという実態。②職場(上司・先輩)の育成に対するコミットが低く、上司・先輩に育成者としての意識・スキルがないという事実。③現場に任せきりのOJTとなっており、社長や人事はOJTにほとんど関与していないという実態。
これらの問題の根源は、そもそもOJTというものへの認識不足にあります。OJTの正確な定義は「上司が部下に対して、知識、技術、職場における役割、取組姿勢、態度、マナー等の向上を仕事の場を通して、“計画的”“継続的”“意識的”に指導、援助すること」というものです。言い方を変えると、「無計画で思いつきの」「最初だけで尻すぼみになる」「流れに任せただけの」指導をOJTとは言わないということですね。
OJTを正しく行うには、以下の5つの手順で、きちんと手間隙をかけ、“計画的”“継続的”“意識的”に行うことが必要です。①人事部と配属上長が協議し、任せる仕事内容に合わせ、新入社員一人ひとりの育成ポイントを把握する。②半年~1年計画での育成目標・育成計画を立案する。③育成計画を本人と上長が面談して共有する。④半年ごとに育成計画を振り返って(人事考課の時期に合わせるとよい)、結果(成長具合)を評価する。⑤育成計画を修正する。
また、入社半年後~1年後に新入社員のフォロー研修(入社以来の仕事を振り返り、今後の自分なりの成長目標を設定する)を実施するのはいいことなのですが、多くの企業が職場でのOJTとそうしたフォロー研修とを連動させてはいません。このように「OJTは現場任せ」で、「フォロー研修は会社が実施する」と切り離されていることに問題があるのです。OJTにも社長や人事部がからみ、フォロー研修と連動させて、現場と全社が乖離しない指導・育成を実現することが大切です。
人事組織
2010.06.09
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。