前回までは、信頼を勝ち得るポイントをお話してきました。信頼を得た上で、誰かと協力していく、力を合わせてやっていくためには、まず「相手を理解する」必要があります。「相手を理解する」上で抑えるべきポイントを3つお話します。
人は「理解してもらっている人に協力したい」という気持ちがあります。だから、協力関係を構築していくためには、お互いのことを理解し合っていることが大切になってきます。順番としては、まずは相手をよく理解する努力をすることから始まります。相手を理解しようとせずに、自分を理解してもらうことだけにやっきになっていると、逆に遠のいていくのが人間関係というものです。
チームとしての協力関係を強化する上では、「人となり」「バックボーン」「夢」の3つを理解し合うことが必要です。
■□■ 人となり ■□■
自分の性格、得意不得意(強み・弱み)、表現の仕方やコミュニケーションのとり方の癖、感情の表し方や思考・行動のパターン、などについて、お互いに理解し合っている前提があると、役割分担(適材適所)を考える助けになりますし、仕事上のやりとりもスムーズに行うことができます。
特に、強み・弱みを理解しあうことは、職場での協力関係でもそうなのですが、会社と会社
の提携関係を結ぶ場合などには、余計にそのことが重要になってきます。お互いの会社ができることとできないことを、曖昧にせずに理解し合わないと、よい連携は望めず、提携関係が長続きしないことになってしまいます。
【ジョハリの窓】
チームワークを発揮するにはお互いを理解し合うことが大事なのですが、その意義の理解に、「ジョハリの窓」というフレームが役立ちます。自分自身について、自分が知っていることと、知らないこと。そして、周囲の人が知っていることと、知らないことのマトリクスで、4つの窓ができます。この窓ごとに意味があるわけですが、結論から言いますと、下の図表の「開放された窓」を少しでも広く保つことが、人間関係を楽にスムーズにするという考え方です。
チームで協力し合って何かしていくことを前提として、お互いの開放された窓を広くしていくことを考えてみましょう。
■□■ バックボーン ■□■
本当に腹を割って理解し合い、関係を深めていく過程で、表面的ではないコミュニケーションが必要になることもあります。それが、「バックボーン」と「夢」を理解し合うことです。
「人となり」と「バックボーン」の違いは、人となりは、相手の今現在を知るということ。
それに対して、バックボーンは、今現在の彼を(彼女を)形作ることになった過去の物語を知るということです。どんなキャリアを積んできたのか。本当のチームワークをつくっていくためには、あらゆるバックボーンを持つ人達と、深く知り合うプロセスが必要になります。
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今野 誠一
株式会社マングローブ 代表取締役社長
組織変革及びその担い手となる管理職の人材開発を強みとする「組織人事コンサルティング会社」を経営。 設立以来15年、組織変革コンサルタント、ファシリテーターとしてこれまでに約600社の組織変革に携わっている。