日本代表チームは何故蘇り、大きな成長を遂げたのか-前編-

2010.09.24

組織・人材

日本代表チームは何故蘇り、大きな成長を遂げたのか-前編-

齋藤 秀樹
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

組織リーダーは「チームビルディング」の要である。これは当たり前のことなのですが、本当にチームとは何かを理解しているリーダーは少ないのではないでしょうか? もう一度、ワールドカップの日本チームからチームのあり方を学びたいと思います。

◆組織リーダーがチームビルダーとなることでチームが再生し最強となる
組織リーダーは実働部隊を束ねる要である。それは先日まで日本を沸かせていたワールドカップ日本代表チームの岡田監督の役割と重なります。

何故、日本チームは連敗の淵から蘇りベスト16(実質的にはベスト9)になったのか。
これには明確な理由とプロセスがあるのです。そして、その本質を理解することで私達は目の前のビジネスチームを再生し、最強のチームへと変革することができるのです。

◆チームのコアは明確なビジョン
ズバリ、日本チームがどんな苦境に立っても前に進めた最大の理由は「ベスト4」になるというビジョンが選手だけではなく、スタッフや関係者全員が本気で信じて(共有して)いたからです。

何故、日本のあらゆるチーム(組織)に閉塞感が漂いメンバーはヤル気を失っているのか。それは、メンバー自身が心から貢献し、実現したいと思えるチームビジョンがないからです。私達は心の奥底で価値が高く、自己成長に直結した仕事に関わりたいという願望を持っています。これは自分自身の価値を高めること(自己肯定感)に繋がっているからです。しかし、企業が掲げるビジョン(経営目標や事業目標)から私達は自分にとっての価値を見いだせずにいます。ですから、自己価値の高いビジョンそのものをチームとして創り上げることがチーム創りの第一歩となるのです。価値あるビジョンとは例えば、経営、事業目標そのものではなく、その目標を達成する意味や価値、その過程におけるチーム活動で得られる自己成長やチームとしての一体感などを具体化し自分にとっての価値を付加するのです。

勿論、チームとして社会貢献や顧客満足度への挑戦、ビジネスそのものの付加価値の向上と言った大きなテーマに取り組むことも重要です。

そして、その取り組みの中で今、真に私達が求めているチームに対する誇りや、仕事に対するプライドを取り戻し、チームで仕事をすることが遣り甲斐や生き甲斐に繋がり、仕事を単にお金を得るだけの道具ではなく、真に自己価値を高める意味ある手段とするのです。
メンバーにとって最も必要なビジョンは全社的なものではなく、まずは自分が属するチームの具体的なビジョンそして自分自身のビジョンなのです。

そのためにリーダーはビジョン構築のファシリテーター(導師)として、まずは現実的なこと「短期的にどうなりたいのか」「何ができたら嬉しいと思うか」「そのために協力し合えることは何か」などから皆で話し合い、共有します。この取り組みを定常化することで、価値あるビジョンの創造をチームとして定着させることが重要なのです。

次のページ◆チームマネジメントの本質を理解する

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齋藤 秀樹

株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事

富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。

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