ACの広告に疑問を感じたら『復興の狼煙ポスター』を見よう!

2011.04.20

ライフ・ソーシャル

ACの広告に疑問を感じたら『復興の狼煙ポスター』を見よう!

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

「前よりいい町にしてやる」。なんて良いコピーだろうか。ACの広告でポポポーン♪な広告関係者やマスコミの方々は、これは必見である。そして、目を覚ましていただきたい。

いま岩手県で話題のプロジェクトが始まっている。
その名も『復興の狼煙ポスタープロジェクト』。
まだの方は、ぜひ、ご覧いただきたい。
http://fukkou-noroshi.jp/posters/#iwate

東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県に住むカメラマンとその仲間達が「自分に何が出来るだろう?」と動き出したプロジェクトである。

当たり前の事を、当たり前に伝えていく。
これが正しいことなのか、いまだに分からない。
でも、伝えるべきことがそこにある。

・・・と、制作されたポスターの数々。圧倒的である。目が覚める。
連日流されているACの広告が霞む。タレントが出てきてきれい事言ってれば良いってもんじゃないだろうに・・・。

「前よりいい町にしてやる」
「心まで壊されてたまるか」
「もうふざけんじゃねえぞ」
「埃も泥も思い出にする」
「かじりついてどこまでも」
「諦めるな、と帆立が言う」


頑張れとか、信じているとか、美文ばかりを発信しようとするマスコミとは違う。現場に立って生まれてくるクリエイティブとは、こういうことだ。

神妙な顔をしてわけしり顔の政治家やマスコミからは、この有事に役に立つ創造性は生まれてこない。

菅首相も、「創造的復興案」なんて難しいことを言っているのではなく・・・「前よりいい日本にしてやる」って啖呵を切るくらいのリーダーシップがほしい。
そんな言葉の方が、どれだけ国民に勇気を与えられるだろうか。

先日の参院予算委員会で行われた東日本大震災に関する集中審議では、あいも変わらず、震災の対応への批判ばかりである。一向に希望を語ろうとする議論はない。神妙な顔をして、過去の不備の話ばかりを、偉い人達がしている。これでは、被災地にあがった復興の狼煙も消えてしまう。

「創造性」があるかないかの単純な指標は、それに触れて「何かやる気になるかどうか」である。見ていて何かやらなくちゃという気にさせるかどうか、「創造性」のあるなしは、そこで決定される。そういう意味において東日本大震災の復興は、「創造性」が鍵になる。それは、頭で考えて出てくるものではなく、どこからか「沸き上がってくる」ものである。

復興の狼煙ポスターには、こんなボディコピーがつけられている。
一緒に悲しむことよりも、あなたの仕事を一生懸命やってほしい。
それが沿岸を、岩手を元気にする力になると思うから。

この言葉に触れて、今日の仕事を一生懸命やろうと思える人達は、この制作者の創造性に共鳴した証拠である。いつの時代も、歴史や町は、震えるような共感が創っている。大人が権力争いをしている議会でつくられていやしない。

ほんと、もうふざけんじゃねえぞ。


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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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