「第3回AKB48選抜総選挙」の過熱する報道を冷静に横目で見ていた私(48才)の最近のヘビーローテーションは、少女時代の「MR.TAXI」である。私の周りのオヤジに「少女時代」の隠れファンは多い。我々オヤジは、AKB48より、断然「少女時代」の方が好きなのである。それは、何故か?
ハイコンテクストを楽しむAKB48。
ハイコンテンツとしての少女時代。
アイドルグループAKB48の22枚目のニューシングルを歌う選抜メンバーを決める開票イベント「第3回AKB48選抜総選挙」が今月の9日、東京・千代田区の日本武道館で行われ、前田敦子が139,892票を獲得し1位に返り咲いた。その結果に対して前田敦子は、「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないでください!」と深々とお辞儀したらしい。これをアイドルに言わせてしまうって凄いことではないだろうか?AKB48は、単なるアイドルではなく、これはもう組織である。働いている少女達の忠誠心とAKB愛、そして、それをあたたかく見守り、喝采を送るファン達。そのどちらもがコンテクスト(文脈・物語)を共有し、それを楽しんでいる。AKB48は、コンテクスト型のアイドルで、そのコンテクストに共感できない限り、その人気のホントの意味は、よくわからない。
・・・という観点において、我々・オヤジ達には、このコンテクストに入り込むだけの時間と余裕がない。それなら、手っ取り早く完成したコンテンツとしての『少女時代』を選択してしまうのである。深い背景もなにもないままに、エンターテイメントとして目を楽しませてくれる『少女時代』に、オヤジ達は、まず一票を入れてしまう。
格差の下位の者のためのAKB48。
格差の上位にしがみつきたい者のための『少女時代』。
「第3回AKB48選抜総選挙」で動いた総票数は、116 万6145票。これは2011年の名古屋市長選挙の総得票数94万8605票を上回る数字であり、一位に輝いた前田敦子の得票数13万9892票は、政令指定都市の市長選挙の当選者の得票数並である。
AKB48の中で切磋琢磨する少女達は、ものごころついた頃から、ずっと不景気の中を生きている。そして、その世代と同じ若者達が、総選挙に一票を投じる。これって、高度成長の中で掴み取った利権を手放したくない爺さん達が我こそはと叫び、高度経済成長を再びと願う高齢者の方々が選挙に行く国政選挙とは、全くの逆の構図である。
AKB48総選挙の総得票数は、一昨年が、54,026票。昨年は354,074票。今年はその3倍以上となっている。政治不信が大きくなるほどに、AKB48の総選挙は盛り上がり、注目される。この現象は、日本の若者達の今の政治への反旗であると受け止めた方が良い。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。