医療機関においても、経営という観点からは環境経営を考えていかなければならない。そうした気運を捉えた、環境負荷の低減をコンセプトとしたコニカミノルタの医療機器の開発事例をご紹介する。
経済産業省は、東京電力や東北電力の管内での今夏の電力使用制限から、公共性の高い約30分野を例外とすることを決め、その中に病院も含まれることになった。治療に関わる医療機器の利用を制限するというのは人命に関わる問題だけにまっとうな判断である。いや、むしろ、医療機関や患者の方々への心理的ストレスを考えれば、もっと早くこの指針を出すべきであった。
では、医療機関は節電についてまったく考えなくて良いかというと、経営という観点から考えると、必ずしもそうではない。医療機器メーカでも環境負荷の低減をコンセプトとした機器の開発が始まりつつある。
コニカミノルタグループのコニカミノルタエムジーは、省電力と世界最小・最軽量(出所:同社プレスリリース。医療用/明室タイプの半切サイズ対応のデジタルX線画像読取装置の体積及び重量において。2011年4月27日現在。)を実現したクリニック向け卓上型CR(デジタルX線画像読取、Computed Radiography: CR)装置「REGIUS Σ(レジウスシグマ)」を発売した。
本製品では環境負荷の低減をコンセプトに組み込み、消去光源へのLEDの採用や、内部モーターの削減、自然対流を利用した放熱設計による冷却ファンの削減などの省電力設計により、消費電力をアナログ自動現像機に比べ約1/10以下に削減した。また、電源起動から立ち上がりまでの時間がわずか30秒と短くして、不使用時は電源を切ることで電力消費量を更に削減できるようにした。
本体寸法は幅510mm、奥行き610mm、高さ355mm、重さ28kgと世界最小・最軽量を実現。小型化、軽量化は省資源、省エネルギーの王道で、原材料・部品レベルでの利用資源の削減、輸送効率の向上やこん包材の削減を可能にしている。同社によると物流なども含む製品のライフサイクル全体のCO2排出量は従来品に比べて64%削減しているという。
現在、クリニック(診療所)は国内に約10万件あるという。少子高齢化や国民医療費削減政策、患者のインターネットを活用した情報武装による医療機関の選別強化など、医療機関の経営環境はかなり厳しくなっている。同業との差別化等による医業収入の向上と質の高い医療行為をより低コストでの提供を継続して両立していくことが経営課題だ。環境負荷低減にも取り組む経営姿勢によって差別化を図りつつ、医療行為をより低コストで提供してく。医療機関でも環境経営に真摯に取り組むことで生き残りを図るというのは経営戦略の一つとなってくるのではないか。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます