近年注目されている「ビッグデータ」の活用において最も期待されているのが、 「未来予測」 ですね。 商品の売れ行きの予測や、消費者・顧客の行動予測が高い精度で行なえれば、的確な事業計画やマーケティング施策の立案・展開が可能になります。
さて、将来の変化を予測するためには第一に、現象の
「因果関係」
を把握しなければなりません。
昨日のブログでご紹介した
「気温が高くなると、整腸剤が売れる」
という現象の場合、以下のような因果関係が推定できました。
------------------------
気温が上昇する
↓
体が火照る・のどがかわく
↓
冷たいものが欲しくなる
↓
冷たい飲料や冷菓を過剰に摂る
↓
腸の働きが過剰になる
↓
お腹を壊す
↓
整腸剤を飲む
-----------------------
この一連の因果は自然なものであり、納得できるものですね。
そして昨日の記事でも書いたように、現象の背景に存在していると思われる
「因果関係が何か」
を考えてみるのは論理思考力を養い、ビッグデータから優れた
「予測モデル」
を構築するためにとても役に立ちます。
ただ、ひとつ気をつけたいことがあります。
それは、
「擬似相関」
に惑わされないようにすることです。
「擬似相関」は「みせかけの相関」とも、言われます。
複数の現象の間に「比例・反比例」のような関係が認められる。しかし、実は直接の関係性はなく、別の要因が隠れている場合もあるのです。しかし、その隠れた別の要因によって、あたかも両者に相関関係があるように見えるので
「擬似相関」あるいは、「みせかけの相関」
と呼ばれるわけです。
例えば、
「血圧が高い人ほど年収が高い」
という記述を見てみましょう。
ここでは、「血圧」と「年収」に相関があり、「血圧の高さ」が、年収を押し上げる
「原因」
と推定されているわけです。
もちろん、逆の因果関係を推定することも可能ですね。
「年収が高い人ほど、血圧が高い」
どちらにせよ、もっともらしい説明が可能でしょう。
「血圧が高い人ほど年収が高い」については、
「朝から活発に行動できる人はおおむね血圧が高めであるが、そんな人は、仕事に積極的に取り組み、成果を出しやすくなるため、高い年収を達成できるのである。」
「年収が高い人ほど、血圧が高い」については、
「高い年収の人はそれだけのプレッシャーにさらされるため、ストレスも高くなる。酒の量も増えたりするだろうから血圧が高くなるのである。」
上記の「血圧」と「年収」の関係は直感的にもおかしいとわかるため、どちらの因果関係の説明にしても、単なる
「こじつけ」
としか考えられないかもしれません。
(実のところ、「血圧」と「年収」の間に相関があるように見えるのは、両者に「年齢」が直接関係しているからです。)
次のページ「みせかけの相関」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2012.08.22
2012.08.28
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。