文高理低と思われてきた「文理」格差ですが、「就職率60%時代を勝ち抜く大学2013」によれば、文系と理系では就活そのものの条件に加え、給与面でも逆転が起きているといいます。山中先生ノーベル賞受賞の追い風は理系に吹くでしょうか。
日本の大学選択時の「文・理」区別ですが、メリット/デメリットいずれもあり、単純に良し悪しは決められないと思います。しかし一方でその進路選択の違いが、生涯のキャリア決定においても大きく影響することは間違いなく、大学受験における文・理の選択はいわば人生を決定付ける選択にもなり得る訳です。
私が監修で参加させていただきました学研ムック「就職率60%時代を勝ち抜く大学2013」で、文系と理系の平均年収は、理系のそれが文系を40万ほど上回ると書かれています。かつて理系の生涯年収は文系以下と呼ばれていた時代と少し変わってきているようです。また就活においても、文系学生の場合、ほとんど全員が学部4年で卒業と同時に就職をし、また日本の産業構造からみても、営業職やサービス業、小売業といった、労働集約的業務に就く者が圧倒的に多く、結果としてエントリー数の過熱化等、昨今の就活問題の中心となっています。100社を超えるエントリーも珍しくない文系に比べ、理系の場合は東大等国立トップ校は大学院進学率が9割となり、「修士で就職」がスタンダードになっています。自ずと選択する企業も、その職務も「何でもあり」とはならず、研究との共通項が多い職を選ぶ傾向は理系ならではといえるでしょう。
年収等属人的変数の大きく影響するデータには私自身は興味がありませんが、それでも理系の進路には文系に無い特徴があります。
その最大のものは「理系はオールマイティな進路選択が可能」ということです。文系学部生の場合、どんなに努力しても製造業の研究職に就くことは不可能です。努力の問題ではなく、そうした採用は一定規模以上の企業では行われていないからです。逆に理系学生は学部卒でも修士修了でも、営業職にも事務職にも就くことは可能です。これは「可能」であって、誰でも就けるという意味では当然ありませんし、また経理の一般事務に理系大学院修了者が雇われる可能性は実際は無いでしょう。ただ理論上はあり得ることです。
私が指導している大学院博士課程では、毎年数は少ないですが営業職に就く学生がいます。
私はとても素晴らしいキャリア選択の一つ、特に博士が営業をすることはとてつもない差別化になると思っています。営業を”ソルジャー”なんぞと呼ぶ程度の認識しかない人には無理なことですが、専門知識を持ち、さらには論理的思考能力を鍛えた博士ならではの進路として、相手が医師であれ専門家であれ、対等な目線で提案や意見具申が出来るビジネスパートナーとなれる営業職であれば、企業で機能しない訳がないと思うからです。
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戦略思考シリーズ
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。