海外を向く中小企業 (2) 地域ビジョンを捉えよ

画像: Silicon Press

2013.01.10

経営・マネジメント

海外を向く中小企業 (2) 地域ビジョンを捉えよ

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

中小・中堅企業の海外市場、特に新興国への進出先の決め方は往々にして近視眼的である。東南アジア進出を考える際は、この地域のビジョンを見据えて欲しい。

ニッポンの中小・中堅企業の海外市場進出に関して、次は進出先に関しての固定観念について考えたい。

中国リスク(1.人件費の高騰、2.反日機運の高まり、3.景気後退の様相)が急増するにつれ、東南アジアが注目されている。弊社も中国はお薦めせず、主に東南アジア・台湾・インドへの市場進出をお手伝いしている。

東南アジア進出という選択肢自体は妥当なケースが多いと思われるが、実際に進出した企業の責任者の話を聞くと、どの国を選ぶかの選択の安直さが非常に気になる。単純に現在の人件費と人口の多さ、あとは直近のオペレーションのしやすさだけで選ぶケースが意外と多いのだ。これでは、人件費が上がると拠点をどんどん移していく「渡り鳥」企業からは脱皮できない。

東南アジアは元々世界有数の人口を抱える地域であり、既に中間消費者層が急増している有望な市場である。

2006年末に正式開通した東西回廊だが、ミャンマーが国際社会に復帰することで実質的に初めて貫通する。日本から見てのグローバル・サプライチェーンが一気に機能拡大する、その中核地である。

しかも2015年末にはAEC(ASEAN Economic Community)が成立し、関税撤廃や規制の標準化などにより経済共同体となる見込みである(EUのレベルとは全く違うことは留意)。つまり欧州・中国に匹敵するような一大経済圏が身近に出現するのである。

こうした地域の発展ビジョンを考慮すると、業種によっては進出先候補の評価基準もおのずから変わるはずである。単に人件費の安さや工業団地の使い勝手だけではなく、東南アジア全体市場を攻略するために最も適した「橋頭保」はどこに築くべきか、という観点で考えたいものだ。

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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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