古くは「嘉祥(かじょう)」といい、吉祥を願ってお菓子を食べる日です。コーヒーのおともに、和菓子も案外いいものです。
今日、6月16日は「和菓子の日」です。
「嘉祥(かじょう)」という行事に基づき、全国和菓子協会が制定しました。848年(嘉祥元年)6月16日、時の仁明天皇が16個の菓子や餅を神前に供えて、疾病よけと健康招福を祈ったとされた故事に由来するそうです。もとは宮中の行事でしたが、公家や武家にも受け継がれ、江戸幕府では江戸城の大広間に2万個を超える菓子を並べ、大名・旗本へ下賜されたという記録も残っています。やがて庶民の間にも広がり、16文で菓子や餅16個を買って無言のまま食べるという風習などもあったそうです。
和菓子はお好きですか。お土産の温泉まんじゅうや、冠婚葬祭のときのお菓子くらい、でしょうか。でも、近頃ではコンビニスイーツにも大福やだんごなどの和菓子があるくらいですから、案外、好きな人が多いのかも知れません。日本の年中行事に密接に結びついている面があるので、伝統的なお菓子のイメージが強いですが、和菓子も少しずつアレンジされ、変化しています。登場した時は斬新さに世間がざわめいた「いちご大福」も、もはや定番になりました。お菓子の世界も、長く続くためには、変わることが必要なのでしょう。
変革が長命を支える、の典型が「とらや」です。有名な老舗の和菓子屋の中でも、「とらや」は、自ら「和菓子の歴史は、虎屋の歴史」と言い切るほどの老舗です。創業はなんと室町時代後期で創業500年をゆうに越えるといいます。1600年(慶長5年)の関ヶ原の戦いのおりには、西軍の犬山城主・石河備前守(いしこびぜんのかみ)を「市豪虎屋」がかくまったと記録されているそうです。400年前にはもう、和菓子の歴史どころか歴史の表舞台にも登場する「豪商」であったことをうかがわせます。
宮中や幕府の御用達であり続けた「とらや」は、常に時代の先端を行く存在でした。1635年には、まんじゅうやようかんと一緒に、当時ポルトガルから入ってきたばかりのカステラやカラメルを天皇に献上したという記録が残っているそうです。今も販売されているゴルフ最中「ホールインワン」は、ゴルフボールそっくりな斬新なデザインですが、これを最初に売り出したのが大正15年だったいうから驚きです。伝統と文化を重んじながらも、新しい菓子を作り続けた「とらや」の姿勢が、創業500年を支えてきたのです。
春は桜餅に柏餅、夏は水ようかんに葛桜、秋は月見だんごにおはぎ、冬はおしるこ、ぜんざい。和菓子は季節や行事と結びつき、日本人の生活に根付いています。今日は、吉祥を願ってお菓子を食べる日です。ふだん行かないような和菓子屋さんをのぞいて見ませんか。新たな発見があるかもしれません。
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