中小企業庁や厚生労働省から発表された最新データをもとに、日本の中小・中堅企業が抱える人材事情を比較・分析しました。さらに加速する人材獲得競争のなかで、企業がどんな戦略を立て、どんな課題を抱えているかが見えてきました。
中小企業庁の「2015年版中小企業白書」によると、中小・中堅企業の数は全国で385.3万社。人数にして3,000万人以上が中小・中堅企業で働いていることになりますが、その多くの企業が頭を悩ませているのが「人材不足」です。
下の図は総務省、厚生労働省が発表した、2007年から2015年にかけての有効求人倍率と完全失業率の推移をあらわしたものです。有効求人倍率は2009年8月に最低の水準にまで落ち込んで以来、右肩上がりで伸び続け、2015年2月は1.15倍を記録。グラフにはありませんが、2015年7月には1.21倍となり、23年5カ月ぶり高い水準となりました。
また、完全失業率は2009年7月にピークを迎えて以来、減少を続けています。市況の回復に加え、少子高齢化による労働人口減もあいまって、人材獲得競争はこれまで以上に苛烈を極めることが予想されます。
資料:総務省「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」
(注) 1.2011年3~8月の完全失業率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国結果である。
(9月分結果から、岩手県、宮城県及び福島県を含む全国結果の公表を再開。)
2.有効求人倍率には、新規学卒者を除きパートタイムを含む。
3.完全失業率、有効求人倍率ともに季節調整値。それぞれ2014年3月時点の公表値を用いている。
また、中小企業庁が行った「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」では、人材の確保状況について、「十分確保できている」「十分ではないが確保できている」と回答した者の割合は全体の5割以下にとどまっています。「人材を確保できていない」理由の内訳を見てみると、「人材の応募がないため」が過半数を占める一方、「人材の応募はあるが、よい人材がいないため」という回答も4割近くあるなど、量と質の両面で人材確保に課題を持つ現実が見られました。
資料:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」(2014年12月、(株)野村総合研究所)
(注) 「確保していない」とは、「獲保する必要もしくは余裕がないため」を選択した者。
人材不足が特に顕著な地方企業からは「地方で優秀な人材が労働できる環境がなく、(人材が都市に)流出しているように感じる」「慢性的に労働力が不足しており、今後も改善が見込まれない業界に対しては外国人技能研修も含め早急に規制緩和すべき」という声があがっています。(※日本商工会議所「人手不足への対応に関する調査」より抜粋)
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