「マーケティングは難しい」という人の多くは、フレームワークを知らない・正しく用いていないという場合が多い。そのため、当連載では、フレームワークを行う上で「陥りがちな落とし穴」を時に事例も使って解説してきた。 しかし、マーケティングはフレームワークを使う以前に絶対守らねばならない「大原則」がある、今回はその点を取り上げてみたい。
■よくある「マーケティング本」の問題点
筆者の昔話と、決して宣伝ではないが著書の話をしよう。独立して数年経ち、マーケティング研修講師の仕事が増えてきた。そんな時、教材に使える本はないかな・・・と書店で一通り目を通したのだが、目的の書籍は見つからなかった。マーケティングを体系的に、その実行プロセスに沿って書かれた本がほとんどなかったのだ。「とにかくターゲットが大事!」だったり、「いいモノはどうやったらできるか」というような、いわば読み手の関心を集めそうな部分から順に章立てがされているものが多い。まぁ、商売的には間違いではないが、マーケティングを学ぶには正しくない。(結局、しかたがないので自ら執筆した結果、おかげさまで現在第7刷・1万部売れるに至っている)。
■マーケティングは流れで読み解く
筆者のコンサルティング業務に寄せられる相談でかなりの割合を占めるのが、「いいモノを作ったはずなのに売れないんです」という内容だ。メーカーとして技術の粋を凝らして良いモノを作った。価格はコストの積み上げで設定されていることが多い。販路を確保するのに苦労しながら、何とか店頭に並ぶようになり、少ない広告費をやりくりして広告や販促活動を行うのだが、売れない。そこで手詰まりになっている。
お察しの通り、上記の活動は全て「マーケティングの 4P(Product:製品・Price:価格・Place:販路・Promotion:広告販促)」である。しかし、それは最終的な「打ち手(施策)」であり、その手前が重要なのだ。 マーケティングは下図のような「流れで読み解く」のが絶対原則だ。
先の例でいえば、売れなかった商品はそもそも、「誰」に「どんな魅力を感じて」買ってもらいたかったのか。「ターゲティング」と「ポジショニング」が明確になっていない。また、「買ってくれる人」がいたとしても、そのターゲットを誰と取り合うのかという「競合環境」が明確にされていない(連載第1回 :3連載第3回:5F分析)。熱い思いでモノを作るのは結構なのだが、それを売るためにはそれなりの手順がある。それが、「マーケティングの流れ」なのだ。
【目的】
環境分析→戦略立案(顧客分析・ポジショニング)→施策立案(4P)という「マーケティングの流れ」を踏襲して、検討要素を着実に押さえて具体化していくこと。ヌケ・モレを防止しつつ、「思いつき」を廃して成功確率を上げる。失敗の確率を低減する。また、成功した場合の再現性確保と、失敗した場合の原因追及ができるようにしておくため、検証の可能性を担保することを目的とする。
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フレームワーク
2015.07.17
2019.04.08
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。